2021/07/06 熱海土石流/地元建設会社や国交省、応急復旧に奔走/テックフォース派遣やがれき撤去

【建設工業新聞  7月 6日 1面記事掲載】

静岡県熱海市の伊豆山地区で3日に起きた大規模な土石流被害で、行政機関や地元建設会社が対応に奔走している。降雨が続く中、二次災害に警戒しながら三島建設業協会(小野徹会長)の会員企業ががれきの撤去作業などに従事。国土交通省は5日までにテックフォース(緊急災害対策派遣隊)30人を現地に派遣した。政府全体でも同日に非常災害対策本部を設置するなど、人命救助や被災者支援、応急復旧に本腰を入れている。=4、8面に関連記事

停滞する梅雨前線の影響で1日から降雨が続き、東海地方や関東地方は記録的な大雨を記録した。3日午前10時30分ごろ伊豆山地区の逢初川沿いで土石流が発生。大量の土砂が家屋や人を巻き込みながら流出し海まで到達した。被災地域は土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)と土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定される土砂災害リスクの高い場所だった。

県の調査によると、土石流の起点となった場所にあった盛り土が崩落したという。人的・物的被害は調査中だが、住宅など約130棟の建物が押し流されたとみられる。5日午後3時時点で死者は3人、約80人が安否不明となっている。

三島建設業協会では、会員企業が3日に県の熱海土木事務所から災害支援要請を受け出動した。国道135号のがれき撤去作業に24時間態勢で対応している。3~5日に延べ100人が作業に当たった。

別の会員企業は国交省中部地方整備局沼津河川国道事務所の要請に基づき、照明車を現場に搬送した。発災から72時間以内は警察などによる人命救助を優先しながら復旧作業に当たり、捜索や救助にめどが付き次第、本格的な作業を始める。

本復旧に向けてさらに複数の会員企業が出動準備を整えているという。

政府は5日、土石流被害に災害救助法を適用。3日に立ち上げた関係閣僚会議を非常災害対策本部に格上げし、5日に首相官邸で初会合を開いた。菅義偉首相は「速やかな救命・救助と被災者支援に全力を尽くしてほしい」と関係閣僚に指示。国交省は静岡県建設業協会との災害協定に基づき土砂撤去作業を支援する体制を構築。5日に東京・霞が関の国交省内で開いた省の非常対策本部初会合で、赤羽一嘉国交相は「自治体などとの連携を密にしながら、人命救助を最優先に万全の体制を整える」よう指示した。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る