2021/07/07 赤羽一嘉国交相/盛り土の総点検必要と指摘/宅地造成以外山林など、関係省庁と連携へ

【建設工業新聞  7月 7日 1面記事掲載】

赤羽一嘉国土交通相は6日の閣議後会見で、3日に静岡県熱海市で発生した大規模土石流の起点付近に開発行為の盛り土があったことに言及し、土石流発生との因果関係の断定を避けた上で、「農林水産省や環境省などの関係省庁と、全国の盛り土自体の総点検を行う方向で考えていかなければならない」との考えを明らかにした。国交省が所管する宅地造成に該当しない山林の土砂搬入箇所などを対象に、危険箇所がないかどうか対応が必要と強調した。

国交省は地震による地滑りの発生懸念を踏まえ、全国に点在する「大規模盛り土造成地」を対象に安全対策を調査している。各市区町村で造成年代調査や安全性把握調査を推進しているが、調査対象は谷を埋めたり傾斜地盤を腹付けしたりして整備した大規模宅地に限られる。赤羽国交相は会見で「例えば山林における土砂の搬入など(宅地造成に含まれない)それ以外のことは国交省の所管ではなかったというのが現実」と現状を明かした。

野上浩太郎農水相は同日の会見で、林地の盛り土などを全国で点検する考えを問われたが、「今回の災害の発生メカニズムの把握を進めたい」などと述べるにとどめた。農水省は県の調査に協力し、林野庁などの専門家派遣やドローン(小型無人機)調査を行っている。

熱海市伊豆山の土砂崩壊箇所付近に太陽光発電所があることを踏まえ、経済産業省は発電事業者の聞き取りなどを始める。梶山弘志経産相は同日の会見で土砂流出や崩壊の防止措置を技術基準に規定するなど太陽光発電設備の安全対策を挙げつつ、土地開発の関係法令が適切に守られているかチェックする必要性を指摘。原因究明の進展を待ち、開発規制などの対応で地方自治体や他省庁と連携を取ることが重要とした。

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