2021/08/05 国交省/PASで苦渋作業の負担軽減/導入拡大へ20現場で実証試験

【建設工業新聞  8月 5日 1面記事掲載】

国土交通省は物流や介護の分野で導入が広がる「パワー・アシスト・スーツ(PAS)」の建設現場への導入に向け、秋以降に実現場での検証に入る。長時間の力作業や中腰での重量物持ち上げなどPASの活用に適した場面を絞り込み、各地方整備局が選定する20現場程度で実証試験を行う。実証成果を基に建設現場で求められるPASの要件を年度内にも公表する。建設作業への早期導入につなげる。建設現場に適したPASの開発を後押しする狙いもある。

PASは建設現場で多い苦渋作業の生産性向上や負担軽減に役立つ。昨年度は動作支援が異なる4種類のPASを活用し、土工や現場内運搬など3ケースの模擬作業を実施。作業の中でも体に負担が掛かる掘削や持ち上げ、据え付けなどの作業、災害現場で必要な人力作業に役立つと立証した。

現場検証に向け9月下旬にも試験要領や評価項目・方法を固める。国交省は長時間の力作業になる▽コンクリート打設▽岩盤掘削・はつり工▽のり面吹き付け工▽地質調査・ボーリング、中腰での指先・腕作業の▽張り芝工▽鉄筋組み立て▽土のう設置▽かご工(詰め石)、中腰で重量物を持ち上げる▽ブロック敷設▽コンクリートブロック設置▽プレキャスト側溝据え付け▽のり面石材敷設-などを検証対象に想定する。

災害時の排水ポンプ設営・撤収などに対応した模擬作業も行う。使用場面を設定し検証用のPASを改めて公募する予定。現場での検証は装着習熟期間や疲労評価把握に有用な期間を確保する。

来年度以降はPAS以外にも検討領域を拡大する考え。身体能力や知覚を拡張する「人間拡張」技術を建設現場に積極導入する。大手ゼネコンも取り組むウエアラブルセンサーを用いた作業員の動作支援や安全管理などの現場適用を視野に入れる。

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