2021/08/17 国交省/建設機械のAI自律施工実現へ、21年秋にも産学官協議会設置

【建設工業新聞  8月 17日 2面記事掲載】

国土交通省は、人工知能(AI)による建設機械の自律運転を目指す産学官の協議会を今秋にも立ち上げる。遠隔操作や自動運転の開発動向を踏まえ、技術レベルに応じた現場適用のロードマップを作成。厚生労働省など関係省庁と連携し、遠隔・自動・自律施工の安全基準も整える。2022年度にもロードマップや現場実証のガイドラインを策定。技術の標準化や施工の安全管理につなげる。

既に実用化が進行する遠隔操作技術の標準化を手始めに、より高度な自動運転や自律運転の実用で環境を整備する。24年4月に適用される時間外労働の罰則付き上限規制を見据え、建設現場の生産性向上や働き方改革を後押しする。

産業界からは建設業団体や建機関連団体に加え、ロボット関連団体などが参加予定。協議会の傘下に「安全・制度」と「現場技術」を検討する二つのワーキンググループ(WG)を設置し、学識者や行政機関を交え議論する。

現場技術WGでは▽ロードマップ▽実用化に向けた実証試験▽技術開発と性能評価(実証ガイドライン)-などを検討。技術開発の企業間連携を深めるためメンバーを公募する。ロボットやAI、IoT(モノのインターネット)、制御ソフト、通信など多分野の企業の応募も想定。ロボット政策を所管する経済産業省や「スマートアグリ」で先行する農林水産省などがオブザーバーとして参加する。

安全・制度WGは▽安全基準▽システムと人の責任分担-などを検討する。労働安全衛生法を所管する厚労省と製造物責任法(PL法)を所管する消費者庁がオブザーバー参加する。両WGの検討状況に応じ基準類を検討するWGも設置。▽施工の安全管理▽技術の標準化▽性能評価-の検討に移る。

遠隔施工や自動施工は安全確保が必要な災害復旧工事などで試験導入されているが、作業効率は通常施工に劣っている。関連技術が高度化できれば災害対応力の強化と生産性向上につながると見ている。

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