2021/08/30 国交省/ICT施工、小規模工事で拡大へ/WG初会合、自治体発注案件でも展開

【建設工業新聞  8月 30日 1面記事掲載】

国土交通省は中小建設会社をターゲットにICT(情報通信技術)施工を拡大するため、小規模現場での対応を検討する「ICT普及促進ワーキンググループ(WG)」を設置した。27日に初会合を開き、マシンガイダンス(MG)機能を搭載した小型建設機械とスマートフォンによる出来形管理技術を2022年度に現場導入する方向性を示した。ICT施工に積極的に取り組む地方自治体にもWGに参加してもらい、自治体発注工事での早期導入も促す。

オンラインで開いた初会合で21年度の取り組みや現場試行の内容を説明した。10月6日に国土技術政策総合研究所(国総研)の「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)実験フィールド」で導入予定技術の現場試行を実施し、機能や効果を把握。12月~22年1月に小規模現場向けのICT施工要領案をWGに提示し、22年2月上旬にも確定する。来春以降に直轄工事で導入する。

ICT施工の実施率は直轄工事で8割に達するが、自治体発注工事は3割に満たない。自治体発注工事を主体とする中小建設会社は多く、ICT施工が経験しにくい環境にある。小規模現場で従来のICT建機を用いるとコスト的に不利になる課題もある。

WGでは中小建設会社への普及に向け、施工規模・内容に応じた使い分けを明確に示す。都市部で施工する修繕工事など狭小箇所の現場を想定し、現場実証や基準類の整備を推進。小型建機(バックホウ)にマシンコントロール(MC)より簡易なMGを導入したり、スマホなどの汎用(はんよう)機器を用いる方法を示し低コストでの導入を後押しする。

国総研での現場試行には、導入予定技術を保有する4社が参加する。MG機能を搭載した小型建機の現場試行にはEARTHBRAINとトプコンの技術を用いる。レーザーで周辺環境を立体的に捉える「LiDAR(ライダー)」技術搭載のスマホを用いた出来形管理は大成ロテックとオプティムの技術で実証を行う。

WGには茨城、埼玉、兵庫、山口の4県も参加。いずれも「i-Construction大賞」の受賞実績があるなど積極的にICT施工に取り組んでいる。自治体関係者と直接意見を交わしながら現場導入の方向性を固め、自治体発注工事での採用につなげる。

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