2021/09/03 建専連/レベル賃金・標準単価を21年度内公表/関係機関に協議働き掛け

【建設工業新聞  9月 3日 1面記事掲載】

建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)は技能労働者の処遇改善に向けた取り組みとして、資格と経験年数に基づくレベルごとの最低賃金と、それを担保するための業種ごとの標準単価を年度内に作成・公表する。1日に東京都内で記者会見した岩田会長が明らかにした。来年度以降、元請団体や監督官庁、労働者団体、民間発注者団体など建設業界に広く周知し、対応協議を働き掛けていく考えだ。

8月下旬の臨時理事会で、各会員団体がレベル賃金・標準単価の設定に取り組むことで合意した。

岩田会長は会見で、建設業の担い手確保のためにもレベル賃金という明確な基準を設定する意義を説明。「(技能者が)自分の未来予想図が描けるよう、権利としてもらえるものを形にする必要がある」と話した。

一方、賃金支払いの「原資確保の議論が欠けている」と指摘。請負金額が「仕事量の繁閑に影響される」ことを問題視し、適切な水準の賃金支払いを担保する標準的な請負単価をセットで設定する必要性を強調した。

仕事量の少ない一部地域では民間工事でダンピングが横行し、相場を大きく割り込む請負金額をのまざるを得ない実態があるという。標準単価を設定できれば過度な安値受注を抑制する効果が期待できるとし、建設業界の各方面にアプローチすることで「何らかの形で公的な基準にしたい」と意気込みを語った。

年度内を目標とする賃金・単価の公表に向け、建専連の企画委員会を通じ各会員団体との調整や、独占禁止法など法制度への対応に当たる。レベル賃金・標準単価設定の妥当性や活用方法などを検討するため、学識者など外部の意見を聞く体制づくりも検討する。

岩田会長は「次に職人が辞め始めたら絶対に止まらない」との認識を示し、「かみそりでは駄目だ。おおなたで改革しなければならない」と危機感をあらわにした。元請団体など各方面との協議に当たって体制を整え、技能者の処遇改善に向けた諸課題を「一緒に解決していきたい」と話した。

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