2021/09/22 インボイス制度、10月から登録受付/運用に経過措置、免税事業者に配慮/国税庁

【建設工業新聞  9月 22日 1面記事掲載】

消費税の仕入税額控除の新方式「適格請求書等保存方式」に対応するため必要になる「適格請求書(インボイス)発行事業者」の登録申請受け付けが10月に始まる。新方式を巡っては、現行制度で納税義務が原則免除される「免税事業者」の取引排除や収入減を懸念する声が挙がっている。国税庁は免税事業者に適用する経過措置や事務負担軽減措置を周知。取引先と協議し、登録申請の必要性を検討するよう呼び掛けている。

2023年10月の新方式導入以降、仕入れや外注の際に負担する消費税分は、売り手が交付するインボイスを受け取り保存しなければ控除できなくなる。インボイス交付は発行事業者としての登録が必要だが、登録は課税事業者に限られる。免税事業者は、課税事業者に転換するかどうかの選択を迫られる。

免税事業者は課税売上高が年1000万円以下の中小事業者が該当し、事務負担に配慮し納税義務が特例的に免除されている。課税事業者に転換した場合、納税義務が新たに生じる。免税事業者のままでいてもインボイスを交付できず仕入れ・外注先として選ばれないリスクがある。一人親方を中心に免税事業者が多いとされる建設業界からも戸惑いの声が漏れる。

国税庁は新方式を徐々に浸透させる考え。免税事業者から仕入れる際、税額の一定割合を控除できる経過措置を設ける。23年10月からの3年は80%、26年10月からの3年は50%が控除可能となる。事務負担軽減策として課税売上高が年5000万円以下で適用できる「簡易課税制度」の活用も促す。事業区分ごとの「みなし仕入率」を用い、インボイスの保存なしに納付税額を算出できる。

国税庁の担当者は「発行事業者の登録は任意だが、まずは取引でインボイスの交付が必要かどうか検討してほしい」と呼び掛ける。免税事業者の懸念を払拭(ふっしょく)するには「取引先とよく話してもらうのが重要」とも指摘する。

新方式周知のオンライン説明会を毎週実施。業界団体向け説明会も受け付けている。専用コールセンター(0120・205・553)で応じる個別相談も登録申請開始を目前に1日100件以上に増えている。

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