2021/10/05 CCUSモデル現場でメリット実感拡大/成績加点や履歴確認で/全建調査結果

【建設工業新聞  10月 5日 1面記事掲載】

全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及に向け展開する2021年度モデル工事の調査結果をまとめた。CCUSを実際に活用したモデル現場36カ所の42%が「メリットがある」と答え、前年度に比べ16ポイント上昇。背景には成績評定の加点など公共工事でインセンティブ付与が進んでいる状況があると分析している。調査結果を踏まえ、適正な技能者賃金の計上や登録申請の簡素化など、CCUS普及への課題解決に取り組む。

今回の調査は8月末時点の状況を集計した。都道府県建設業協会の会員企業が受注した現場から選定したモデル現場36カ所の発注者別内訳は、国15カ所、地方自治体18カ所、民間3カ所。全体的には請負金額1億円以上2億円未満、実労働日数50日未満、延べ技能者数250人未満といった規模の現場が多い。

CCUS活用の「メリットがある」と回答したモデル現場の理由を確認したところ、公共工事の成績評定や入札などで加点対象になったことを挙げている。書類を簡素化し、技能者一人一人の就労履歴や保有資格を瞬時に確認できる効果も実感したという。

CCUSの普及促進に向け有効と考えられる方策も調査。成績評定や入札のほか、経営事項審査の加点といった公共工事のインセンティブ付与や登録申請の簡素化などの普及促進策を有効とする回答が目立った。CCUSを活用した技能者の適正評価で実現した賃金上昇分や、技能者のレベルに応じた賃金経費を公共工事の積算に計上することを求める意見もあった。

下請企業の事業者登録率が国土交通省CCUS活用推奨モデル工事の最低基準70%を上回っていたのは、全建モデル現場36カ所の43%。技能者登録率の最低基準60%をクリアしていたのは52%だった。カードタッチによる就労履歴蓄積率は45%となり、最低基準30%をクリアした。

元請企業による下請企業へのCCUS加入対策の実施有無は、モデル現場の74%が直接の呼び掛けや説明会の開催などを通じて実施していると回答。技能者に対するカードタッチの促進策では、74%が下請企業へのCCUS加入対策と同様の取り組みを通じて実施していると答えた。一部ではカードタッチをしない技能者の入場を認めないという回答もあった。

調査結果は、5日の関東甲信越ブロックを皮切りにスタートする国交省との21年度地域懇談会・ブロック会議で報告する。

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