2021/10/05 国交省/鉄筋出来形計測、画像解析で遠隔確認/直轄土木29現場で試行

【建設工業新聞  10月 5日 1面記事掲載】

国土交通省は直轄土木工事の鉄筋コンクリート構造物を対象に、カメラで撮影した画像・映像の解析技術を活用した鉄筋出来形計測の現場試行に乗り出す。各地方整備局から試行工事29件を選定。内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の枠組みで開発した5種類の計測技術を中心に解析精度を検証し、遠隔臨場による受発注者間のやりとりも確認する。試行対象を拡大しながら実施要領を策定し、2023年度の本格適用を目指す。

現場試行は7月に公表した「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測に関する試行要領(案)」に基づき実施。スケールによる実測など従来手法も併用し計測データを比較検証する。

従来は発注者の立ち会いで鉄筋配置の段階確認が行われ、受注者側も準備補助職員を含む複数人が必要だった。新たな計測技術は画像・映像を撮影する受注者側の職員が1人いれば済む。撮影データから鉄筋径や鉄筋間隔の数値を計測し、遠隔地の発注者にリアルタイムで提供。発注者はパソコンなどの画面越しに出来形確認を行える。

試行工事は整備局別に北海道5件、東北10件、関東1件、北陸3件、中部1件、近畿1件、中国4件、九州1件、沖縄3件。▽立ち会い頻度が多い▽高密度配筋▽柱と張り出し部などの仕口箇所がある▽狭い場所で作業が必要-などの現場条件に合致する案件を抽出した。試行費用は全額を発注者が負担する。

PRISMでは、▽清水建設(共同開発者=シャープ)▽IHIインフラ建設(オフィスケイワン、アイティーティー、千代田測器、インフォマティクス)▽鹿島(三菱電機、三菱電機エンジニアリング、建設システム)▽三井住友建設(日立ソリューションズ)▽JFEエンジニアリング(ACES)-の5事業体が独自技術を開発。試行工事のうち19件は各事業体の構成員が受注者となる。5事業体以外が開発した類似技術も一定条件で試行実施が認められており、残りの10件は任意で採用技術を選ぶ。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る