2021/10/20 国交省/災害復旧工事中の損害、受注者の負担軽減へ/「不可抗力」解釈見直し

【建設工業新聞  10月 20日 1面記事掲載】

国土交通省は災害復旧工事で「不可抗力」による損害が発生した場合、受注者負担を軽減する在り方を検討する。予見可能性が高い災害復旧工事中の損害発生を不可抗力と判断せず、発注者負担とし、受注者に負担を求めない方向で進めていた検討を転換。二次災害による損害発生は受発注者双方に責任が生じない不可抗力とした上で、受注者負担を軽減、あるいは求めない方向で検討し直す。

公共工事標準請負契約約款の規定では不可抗力による損害額のうち請負代金額の1%分は受注者、それを超える分は発注者が負担するとされている。ただ災害復旧工事はそもそもリスクが高く、人員や資機材の面で負担も大きい。たとえ1%の負担であっても受注ハードルが上がり、円滑な災害復旧に支障を来す可能性もある。地域建設業団体などからも受注者負担の引き下げを求める声が挙がっている。

国交省は昨年7月、不可抗力による損害の解釈を明確化する方針を表明。災害復旧工事中の損害発生は予見可能性が高いことから発注者に責任があると整理し、受注者に負担を求めない方向で検討するとした。

一方、それでは発注者に過度な負担を強いることになりかねないため、公共約款で二次災害による損害発生を発注者に責任がない不可抗力と整理し直した上で、受注者負担の軽減の在り方を検討することにした。リスクが高い災害復旧工事に該当するかどうかで一定の類型化を図り、契約当事者らに混乱が生じないよう配慮する。今後、公共約款の修正案を示す予定だ。

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