2021/11/02 衆院選で自公勢力維持/国土強靱化の継続推進に期待/経済対策や予算編成焦点に

【建設工業新聞  11月 2日 1面記事掲載】

10月31日に投開票された第49回衆院選で、自民、公明の与党が過半数を大きく上回る議席を獲得し、岸田政権の継続が決まった。目玉政策となる「成長と分配の好循環」の具体化に向け政権運営が本格始動する。数十兆円規模になる見通しの経済対策の取りまとめ作業を急ぎ、財源となる2021年度補正予算の年内成立を目指す。国土交通省などが22年度予算の概算要求に盛り込んでいる「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(21~25年度)の行方も焦点になる。=2面に建設業団体トップの談話

衆院選で自民党は公示前勢力から減らしたものの、国会が安定的に運営できる絶対安定多数の261議席を獲得。公明党と合わせ293議席を確保した。新型コロナウイルス対策の成果や経済対策の方向性が国民の信任を得た格好だ。岸田文雄首相は続投し10日召集予定の特別国会で第2次岸田内閣が発足する。現閣僚は再任の見通し。

自民党は選挙戦で防災・減災、国土強靱化に向けた十分な予算を継続的に確保し、5か年加速化対策を「着実に実施する」と公約に掲げた。岸田政権が今月中旬にも決定する経済対策で主要な柱の一つとして防災・減災、国土強靱化対策を盛り込む予定。選挙結果を受け、日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長は「十分な施工余力をもって、日本経済の再生と国民・国土の安全・安心の確保に向けて一層精進する」と改めて表明している。

政府・与党内の勢力図には変化の兆しもある。岸田政権の発足に伴い、国土強靱化政策をけん引してきた二階俊博衆院議員が自民党幹事長を退任するなど与党役員人事や首相官邸の体制が刷新。衆院選では野田毅元建設相と石原伸晃元国交相が落選し、建設省時代も含め国交省の大臣経験者が自民党内でゼロになった。国土交通行政に精通する有力議員が少数になることで与党や国会内での影響力低下を懸念する声もある。今後の論戦を注視する必要がありそうだ。

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