2021/12/07 財政審/22年度予算編成で建議/社会資本整備、ソフト対策含め効果最大化を

【建設工業新聞  12月 7日 2面記事掲載】

財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)は3日、国の2022年度予算の編成に向けた建議をまとめた。財政上の三つのリスクの一つとして「震災などの自然災害」を挙げ、「危機に対応できる財政余力を確保しておくことが不可欠だ」と指摘。社会資本整備に当たっては「量」から「質」への転換を促すため、防災・減災対策や生産性向上対策、老朽化対策といったインフラ整備の各分野で「これまで以上にソフト対策とハード対策を一体のものとして効果を最大化させることは絶対条件」と強調した。

同日に財政審の榊原定征会長(東レ社友)が鈴木俊一財務相に建議書を提出した。

建議では「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の関連予算の増加などを踏まえつつ、「翌年度への繰越額が増加傾向にあることに留意が必要」と指摘。効率的・計画的な事業執行の観点から、翌年度にまたがる見通しが立つ事業は国庫債務負担行為を活用するなど執行の平準化を図り、可能な限り繰越額を減らしていくべきだとした。

予算の質向上への課題と対応策を、▽国土政策的な観点などを踏まえた防災・減災対策▽建設業をはじめとする生産性の向上・効率化など▽適切・効率的な老朽化対策-の3点で記載した。防災・減災対策は「より多くの人がより災害リスクの低い土地に居住し生活すること」を政策目的に据えた上で、各施策を評価・改善するプロセスを確立する必要性を強調。原形復旧を前提とせず効率的な復旧・復興を行う場合のインセンティブ強化などを提言した。

建設業などの生産性向上には、工期短縮や省人化に向けた新技術の導入加速やBIM/CIMの効率的な活用などを要請。老朽化対策では橋梁の統廃合に向け、橋梁を撤去した場合の交通への影響や治水効果を評価する判定スキームを検討することなどを提案している。

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