2022/01/07 国交省/土石流被災前の対策強化へ/21年度内に事業化要領策定

【建設工業新聞  1月 7日 2面記事掲載】

国土交通省は砂防分野で事前防災の取り組みを強化する。土砂災害のリスクをあらかじめ評価し、発災前に砂防堰堤などを整備する箇所の抽出手法を年度内に確立する予定。要領として都道府県に提供し、優先事業箇所を選ぶ際に役立ててもらう。気候変動の影響で降雨特性が変わってきている状況を考慮し、被害の最小化に向けた対策を急ぐ。

有識者会議「気候変動を踏まえた砂防技術検討会」(座長・藤田正治京都大学防災研究所教授)の第4回会合を6日にウェブで開き、「土砂・洪水氾濫により大きな被害の恐れのある流域の調査要領」の案を示した。年度内に議論を取りまとめ、内容を決定する。

案は気候変動の影響を踏まえ、被災実績がない流域で砂防事業を実施する際の基準を示した。河床の勾配が200分の1を下回る地点を「土砂・洪水氾濫被害形態変化点」と名付ける。変化点より上流の流域面積が3平方キロ以上で、10万立方メートル以上の土砂流出が見込まれる場合、基準をクリアできる。

土砂の流出量は、流域内の土砂災害警戒区域の分布などを考慮して算出する。流域に人家などの保全対象があれば、あらかじめ砂防堰堤などの整備を事業化できるようになる見込み。

国交省は土砂災害を伴う豪雨が近年頻発している状況を受け、2020年1月に検討会を設置した。同5月に第2回会合を開催。土砂災害が発生した流域と地形が似た地域では、被災実績がなくても対策に着手する方針を示していた。

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