2022/02/07 賃上げ企業の加点措置/関東整備局が各建協向け説明会開く/質問・懸念表明相次ぐ

【建設工業新聞  2月 7日 4面記事掲載】

賃上げした企業を総合評価方式の入札契約手続きで優遇する取り組みを巡り、関東地方整備局が4日までに行った1都8県の建設業協会への説明会で、困惑する意見や運用の在り方についての指摘が相次いだ。給与総額の解釈を求める質問や、受注がベースとなる建設業の特性を踏まえた対応を求める意見などがあった。説明を受けた関係者に、運用の先行きを懸念する見方が広まっている。

説明会は2、4日にウェブで行われた。建協からは、加点評価を受け続けるために賃上げを毎年度表明する必要があるかや、減点措置を受けている期間中に賃上げを表明した場合の対応、賞与や時間外手当の取り扱い、工事の進行基準と完成基準からの差などについて質問が出た。入退職など労働者の出入りで給与総額が減る懸念や、源泉徴収など個人情報の開示に伴う異論の表明もあった。

中小企業の賃上げを給与総額で判断する仕組みについては、受注産業の特性もあって業績や賞与が変動しやすい実態を踏まえ、基本給ベースで賃上げを評価するよう求める意見が出た。賃上げに賛意はあるものの、賃上げした場合は固定費が増えることになる。安定した受注環境の整備が運用の前提条件になることを念頭に説明を聞いた関係者は少なくない。整備局の担当者の立場は理解しているものの、「本省に伝えます」という回答が目立ったこともあり、「制度として成り立たない」と不安感を募らせた関係者がいる。直轄工事の実績のない企業の関心が低く、業界全体の賃上げ効果を疑問視する関係者もいる。

優遇措置として大企業では平均受給額3%以上、中小企業は給与総額1・5%以上の賃上げを表明すると、総合評価方式で加算点が得られる。減点措置もある。企業の賃上げを促す岸田文雄政権の方針を受け、財務省で制度設計が進んだ。関東整備局管内の建協には1月18日の意見交換会で説明が行われて以降、「賃上げの有無が受注を左右する」(北関東の建設業団体幹部)と戸惑う意見が噴出していた。

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