2022/02/24 国交省/民間工期で受発注者調査へ/「著しく短い工期」の実態把握

【建設工業新聞  2月 22日 1面記事掲載】

国土交通省は民間発注工事に特化した工期の実態調査を始める。工期設定や工期変更が適切に行われているかどうか、建設企業だけでなく民間発注者も対象にウェブアンケートで聴取する。公共工事と比べ民間工事は実態把握が難しく、工期適正化が進んでいないとの指摘も後を絶たない。特に取り組みが遅れている工事種類などの傾向を分析し、2020年10月施行の改正建設業法で規定された「著しく短い工期の禁止」の実効性を高める狙いがある。

建設業111団体にアンケートへの協力依頼を21日付で送付した。元請、下請を問わず幅広い建設企業を調査対象とし、専用ホームページ(https://www.ari.co.jp/kouki)にある設問に3月15日まで回答してもらう。発注者向けのアンケートも対象業種などを精査し近く開始する予定。いずれも年度内に調査結果をまとめる。

建設業で時間外労働の罰則付き上限規制の適用が24年4月に迫るが、週休2日工事など働き方改革の取り組みが民間工事で進まないという声が建設業団体から挙がっている。改正業法によると「著しく短い工期の禁止」規定に発注者が違反した場合、国交大臣らが勧告・公表する権限を持つ。著しく短い工期の判断基準として中央建設業審議会(中建審)が作成した「工期に関する基準」を用いる。

建設企業へのアンケートは20年9月以降に請け負った民間工事が対象。工期設定時の発注者との協議状況や工期の長さの適切さ、必要に応じた工期変更の有無などを請負工事全般で確認。さらに工期変更があったケースと無かったケースに分け、個別工事を請け負った際の工期交渉の詳細や相手方の発注者属性を聞く。オフィスやマンションなど多岐にわたる民間工事の中で、重点的に改善すべき領域などを把握したい考えだ。

国交省は調査結果を踏まえ、適正工期の在り方を受発注者に解説するリーフレットを作成予定。22年度以降に発注者も対象としたセミナー開催も計画している。工期適正化の先進企業への個別ヒアリングを通じた事例集の作成も検討している。

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