2022/02/28 自民品確議連・佐藤信秋幹事長/賃上げ加点「参加しやすい環境整備を」

【建設工業新聞  2月 28日 1面記事掲載】

◇運用の一律解釈必要

自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)の幹事長を務める佐藤信秋参院議員が日刊建設工業新聞社などの取材に25日応じ、建設業で働く人たちの処遇改善につながる入札契約制度の改善などに一段と注力する考えを示した。賃上げ企業を総合評価方式の入札で加点する国の新たな施策に対し、「みんなが参加できるような『賃上げ環境』の整備が必要」と強調。さらに分かりやすい運用の解釈が必要との見解を示し、財務、国土交通両省にはQ&A集など、誰もが理解できる参考資料の整理を早急に求めていくことを明らかにした。

財務省が主導する公共調達の賃上げ企業への入札優遇策では同議連の働き掛けもあり、8日付で加点評価基準になる賃上げ実績の評価運用を見直した経緯がある。当初は大企業で従業員1人当たり平均給与額を前年度比3%以上、中小企業なら総人件費を年1・5%以上増やす目標を設ける必要があった。これらは賞与や時間外手当なども含まれるため、新たに基本給や所定内賃金、継続勤務従業員の平均賃金も加え、評価基準を幅広く選択できるようにした。

佐藤氏は、こうした運用の柔軟な見直しを「選択肢の間口が広がった」と評価し、企業には「経営実態に合わせ手を挙げてもらいたい」と求めた。さらに多くの企業が入札参加できるよう、国がまとめている賃上げ実績評価の運用の考え方について、より分かりやすくきめ細かに整理する必要性も訴えた。

いわゆる「新型コロナウイルス手当」のような一時金を賃上げ実績として実際にカウントするかどうかなど、最新の経営実態を踏まえた運用解釈の課題が出てくると予測する。今後、賃上げ加点対象の工事や業務などの入札案件が増えていくのを前に、「財務、国交両省で一律のQ&A集のようなものを早急に作り、分かりやすく整理すべきだ」とした。

一方、地方整備局ごとに運用の解釈をまとめるようなやり方については、「混乱を招きかねない」と懸念を示した。

佐藤氏は、同議連として長年訴え続けている公共工事設計労務単価や、公共土木工事の積算基準・低入札価格調査基準の一般管理費等率が引き上げられることにも言及。総合評価方式の入札加点と同様、建設業の賃上げを後押しする大きな動きとして評価した。その上でさらなる改善に努めていく必要性も指摘した。

低入札価格調査基準に関しては、一般管理費等率のさらなる引き上げとともに、調査基準範囲の上限(予定価格の92%)も引き上げる必要があるとした。

佐藤氏はかねて技能者の給与水準について、週休2日確保を前提に1日当たり平均賃金を約2万5000円、平均年収を他産業並みの550万~600万円程度に引き上げることを要望。総合評価方式の賃上げ加点などと連動した建設業の給与水準のベースアップにも期待を込める。公共工事品質確保促進法の趣旨も踏まえ、低入札調査基準額の設定上限が積算価格を上回るような制度設計も重点課題に掲げた。

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