国土交通省は、担い手の確保・育成や災害対応力の強化、環境配慮の推進といった観点で検討していた経営事項審査（経審）の改正案を明らかにした。「Ｗ点（その他の審査項目〈社会性等〉）」の評価項目を変更。建設キャリアアップシステム（ＣＣＵＳ）を現場で導入する企業を評価し、元請として就業履歴蓄積に全工事現場、あるいは全公共工事現場で取り組んだ場合に加点する。意見募集などを経て６月の公布、２０２３年１月の施行を想定している。＝２面に関連記事

１４日に東京都内で開いた中央建設業審議会（中建審、柳正憲会長）の総会に審議事項として改正案を提示した。ＣＣＵＳを全現場で導入する企業は１５点、全公共工事で導入する企業は１０点を付与する。現場登録とカードリーダー設置などの就業履歴蓄積に必要な措置を講じることが要件になる。運用上は要件を満たすとの誓約書を提出してもらい、許可行政庁が抽出調査で確認する。虚偽申請には建設業法に基づく営業停止処分などで対応する方針だ。

担い手の確保・育成に関しては、ワーク・ライフ・バランス（仕事と家庭の調和、ＷＬＢ）に関連する認定制度の取得企業も加点対象とする。▽くるみん認定▽えるぼし認定▽ユースエール認定－などの取得企業に最大５点を付与する。複数の認定を取得している場合、最も評点の高い認定で加点する。

災害復旧に使用する建設機械の保有状況を加点する仕組みを拡充。道路の復旧時に使用する締め固め用機械の「ロードローラー、振動ローラーなど」、がれき除去などを行う解体用機械の「ブレーカー、解体用つかみ機など」、電線の復旧時に使用する「高所作業車」を新たに加える。「大型ダンプ」の加点対象は最大積載量５トン以上に限定せず、土砂の運搬が可能なダンプ全般に広げる。

現状でＩＳＯ認証の取得企業が対象となる環境配慮への加点評価は、対象となる認証制度に「エコアクション２１」を追加。認証手続きの簡便さを踏まえ、加点はＩＳＯ認証の５点より小さい３点に抑える。