2022/03/17 全建/SDGs経営のガイドライン策定/取り組み手順や先行事例紹介

【建設工業新聞  3月 17日 1面記事掲載】

全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は会員企業を対象に、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する経営戦略の策定と実践を促す。参考資料としてガイドライン(指針)を策定し、取り組み手順や会員の先行事例をまとめた。4月には全建本部に電話相談窓口も設ける予定だ。SDGs経営の普及で地域建設業のイメージアップを促進。担い手の確保につなげ、長期にわたる安定経営や持続的成長を後押しする。 SDGsは2015年の国連サミットで全加盟国が合意した、より良い社会の実現を目指す世界共通の目標。30年を達成期限として、気候変動対策やインフラの強靱化など計17項目の目標が掲げられている。

指針では、地域建設業がSDGs経営に取り組む意義を▽自社の強みや課題を把握し将来の経営戦略に反映▽中長期的な経営の安定▽自社の発展と地域支援▽企業イメージアップと新たなビジネスチャンス獲得▽人材確保-の5項目に整理した。

推奨する簡易な取り組み手順も明記。会員各社は普段の業務や環境対策、社会貢献活動などを振り返り、SDGsの個別目標に関連しているか確認してもらう。自社や顧客、地域社会に及ぼす影響を考慮し、経営課題の優先順位を整理した上で、SDGs目標を設定するやり方を紹介している。

会員の先行事例も収録している。特に世界共通の重要課題となっている脱炭素対策を数多く紹介。施工段階の事例では掘削残土や再生材料の利用、ICT(情報通信技術)建設機械などを取り上げ、二酸化炭素(CO2)の削減効果を写真や図表を交えてまとめた。

全建の担当者は会員企業に対し、指針の活用を通じて「SDGsを難しく考えず通常業務の延長上のように理解してほしい」(事業部)と呼び掛けている。

全建が昨年8月に会員企業に実施したアンケートによると、SDGsに対応しているのは回答1611社のうち23%の373社にとどまる。22年度事業計画では会員のSDGs経営を支援。SDGsの柱に当たる、脱炭素関連の技術開発や実用化動向も情報共有し普及に努める。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る