2022/03/29 国交省/ICT施工の技術者育成、民間研修プログラム活用検討

【建設工業新聞  3月 28日 1面記事掲載】

国土交通省はICT(情報通信技術)施工を手掛ける技術者の育成に向け、民間企業などの研修プログラムの有効活用を検討する。ICT施工に携わる技術者に必要なスキルをレベルごとに体系化し、官民一体で育成体制を構築。ICT施工の専門的な知識や技能に基づき工事全体をマネジメントし、現場の生産性向上につなげられる技術者の育成を目指す。2022年度に講習内容や運営体制の制度設計に着手する。

25日に開いた「ICT普及促進ワーキンググループ(WG)」の会合で今後の取り組み方針を報告した。これまでは各地方整備局が施工会社、地方自治体を対象に研修や講習会を開いたり、未経験企業の技術指導に当たる企業などを認定する「アドバイザー制度」を創設したりしてきた。中小建設会社の技術者育成をさらに後押しする方策を、22年度以降のWGの重点課題にする。

民間の研修プログラムは、建設機械施工の業界団体や建機メーカー、レンタル会社、ソフト会社などが独自に展開している。WGで民間とも意見交換の場を持ちながら連携可能なプログラムを抽出し、官民の役割分担などを検討。国交省認定講習のように公的な位置付けを与えることで、施工者へプログラム受講を促すことも想定している。

最終的にはデジタルデータの取り扱いなど専門的な知識や技能の習得実績に応じた技術者レベルの体系化につなげる。例えば整備局のアドバイザー登録者やi-Construction大賞受賞企業の現場代理人などを上級レベルに位置付ける。施工者としてアドバイザー登録した技術者の活動実績を評価し、インセンティブを付与する必要性も今後検討する。

25日のWGでは技術者育成について「中小企業はそもそも人材が少なく、その中でICT施工に取り組むと外注も多くなる」との指摘があった。現場技術者とは別にICT施工の専門的な業務に当たる人材を確保し、業務分担を推進すべきという意見もあった。

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