2022/04/01 国交省/現場配置技術者、ICT活用で2現場兼務

【建設工業新聞  3月 31日 1面記事掲載】

国土交通省はICT(情報通信技術)を活用した遠隔施工管理で、監理技術者など現場配置技術者を兼任可能とする条件設定のたたき台を明らかにした。比較的小規模で適正な施工体制を確保しやすい工事を対象とし、現場状況や人員配置などで許容範囲を整理。兼任可能とする2現場の工事請負金額はいずれも1億円未満(建築一式1・5億円未満)とする方向だ。監理技術者をサポートする連絡要員の現場配置などの条件付与も検討している。

有識者会議「適正な施工確保のための技術者制度検討会(第2期)」の第3回会合を29日に開いた。たたき台を踏まえ、▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽住宅生産団体連合会▽日本電設工業協会-の4団体から意見を聴取。ほかの建設業団体や地方自治体も追加でヒアリングし、4月中に開く次回会合で検討結果をまとめる。

条件設定として現場状況の確認と意思疎通に必要な音声・映像を送受信できるICT環境を求める考え。現場間距離は1日に巡回可能な範囲にする。

下請の施工体制を適切に管理する観点から、下請次数は3次以内に限定。建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用などで日常的な施工体制を遠隔把握できる仕組みも必要とする。

専任配置を不要とする請負金額の基準(現行3500万円〈建築一式7000万円〉)の引き上げは物価変動や消費税率を踏まえ別途検討。会合では直近の建設工事費デフレーター(建設工事にかかる費用の相場を示す指標)が2014年以降1・08倍に上昇していることを示した。

働き方改革の観点で技術者配置の運用改善の方向性も示した。同じ建築物や連続する工作物の関連工事を「同一工事」と見なし、1人の監理技術者で管理を認める措置は、契約方式の要件を無くし発注者の書面承諾で可能とする。限定的な運用だった技術者の途中交代は、発注者の合意で可能とする方向で検討する。

現状、営業所専任技術者は専任現場を兼務できないが、ICT活用など一定条件で1専任現場なら可能とする方針。現場配置技術者の2現場兼務と同じような条件を設定する予定だ。

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