2022/04/18 建災防/新ヒヤリハット報告デジタル化へ、スマホ入力方策検討

【建設工業新聞  4月 15日 2面記事掲載】

建設業労働災害防止協会(建災防、今井雅則会長)は、新ヒヤリハット報告のデジタル化を柱とする建設現場の「安全衛生管理DX」に取り組む。戸田建設と共同開発したスマートフォンで新ヒヤリハット報告のデータを入力できるアプリケーション「ヒヤリポ」に着目。建設工事のすべての従事者が活用できる方策を探っていく。最終的には厚生労働、国土交通両省と共に業界全体で安全衛生管理DXを推進していくための基盤となるプラットフォームの構築を目指す。

14日に「建設業における労働安全衛生管理DXの方向性に関する円卓会議」の報告書を公表。昨年11月から今年3月にかけて、学術分野の専門家や官民の実務者らと話し合ってきた安全衛生管理DXの方向性や検討課題などをまとめた。

当面は建災防と戸田建設が共同開発した「ヒヤリポ」を全建設工事従事者が活用できる方策を検討する。ヒヤリポの全面的な活用が実現し、新ヒヤリハット報告のデータが大量に蓄積された後、AIで正確にデータを分析し各現場の条件に適した労働災害防止対策を提示できるような技術開発も検討する。

デジタル化する新ヒヤリハットのデータは、建設現場の生産性向上策として導入が進んでいるBIM/CIMやVR(仮想現実)、AR(拡張現実)との連携も模索する。BIM/CIMモデルに新ヒヤリハットの情報を共有・蓄積する仕組みを検討し、より精度の高い危険事象の予測実現を想定。VRやARを用いた体験型の安全衛生教育コンテンツの開発も視野に入れる。

建災防によると、現在は企業単体でベンダーと安全衛生DXの開発の動きが見られる。業界全体としての連携が十分に行われておらず研究開発投資が重複するケースも出ている。そのため協調領域と競争領域を明確にし、協調領域では協同してDX開発に取り組んでいくことが品質やコストの効率化に役立つとみている。

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