2022/04/18 フジタら/トンネル巡視・点検、自律ドローンで自動化

【建設工業新聞  4月 15日 3面記事掲載】

フジタとセンシンロボティクス(東京都渋谷区、北村卓也社長)は、ドローンを活用したトンネル坑内の自動巡視システムを共同開発した。ドローンが自律飛行し、搭載する360度カメラで坑内を撮影。画像から自動生成したVR(仮想現実)空間でBIM/CIMと連動した巡視点検ができる。遠隔地への迅速な施工記録の共有を実現し、工事の省人化、省力化を図る。

ドローンの飛行はレーザーで対象の形状を検知するLiDAR(ライダー)を活用。照射したレーザー光の反射時間から距離や方向を測り制御する。暗所やGNSS(全球測位衛星システム)を受信できない坑内でも自らの位置を把握する。

撮影した膨大な画像データはモニタリングシステム「Open Space」で処理し、10分程度でVR空間を自動生成。設計時の3Dモデルや時系列別の画像と比較できる。クラウドで共有し、現地にいない人を含めた複数人での確認が可能。VR内は注釈コメントを添付でき、受発注者間でスムーズな意思疎通を図れる。

1月下旬に徳島県小松島市で施工中の「横断道羽ノ浦トンネル工事」(国土交通省四国地方整備局発注)で試行した。掘削区間400メートルを約7分で飛行。作成したVR空間を活用し、従来より1人当たり1時間短い時間で巡視点検を行えたという。トンネルでのドローン利用は従来、経路の事前指定や暗所で大型機材を避けるといった高度な操縦技術が必要だった。既製品の活用で導入コストも低く抑えた。

フジタは今後、トンネル工事以外への展開を検討している。LiDARで取得した点群データを出来高・出来形管理に生かす技術も開発する。

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