2022/04/20 小林史明デジタル臨調事務局長/試掘工事の自治体間ルール統一に意欲

【建設工業新聞  4月 20日 2面記事掲載】

政府のデジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)の小林史明事務局長(デジタル副大臣兼内閣府副大臣)は18日、地下工事の前段に行う試掘工事に関し、地方自治体ごとに設定しているルールを統一化する考えを示した。東京都では事故防止のため、地下埋設物から50センチ以内の近接作業は、人力で作業しなければならない。試掘時も作業員が手掘りで行うため、時間やコストがかかっている。

小林事務局長は「ほかの自治体では違うルールがあるかもしれない。自治体ごとに異なることで非効率なことが起きるのは問題だ」と指摘。規制改革の議題の一つに取り上げる方針だ。

小林事務局長は同日、東京都大田区内にあるジオ・サーチ(東京都大田区、雑賀正嗣社長)の技術開発センターを視察し、地下インフラの点検技術を体験した。同社の冨田洋代表取締役会長が、AR(拡張現実)ゴーグルによる地下埋設物や数値化された橋梁床版内部の劣化状況の確認技術を紹介。時速80キロで走行し地下埋設物や橋梁床版内部のデータを取得する「スケルカー」、手押しの「スケルカート」の性能もプレゼンテーションした。

体験を終えた小林事務局長は「橋梁の点検は目視と打音で行うが、スケルカーのような技術を使えば一気に点検を完了できる」と利点を確認。目視や打音点検の規制改革につなげる考えを示した。同社の技術に対し「応用すれば河川堤防の点検などにも使える」と評価した。

同社からは試掘時の課題として都の「50センチルール」が挙げられた。デジタル臨調では、デジタル社会の実現に向けた構造改革の原則を設定。試掘に関する課題は、アナログの手法から転換する「デジタル完結の原則」、国や自治体間のルールやシステムのばらつきを解消する「相互運用性確保原則」に適合する。地中データを取得できる技術を活用すれば、地下埋設物の状況がすぐ分かり試掘時の安全性が向上する。人力作業の規定を撤廃し、最初から重機を使用できる可能性もある。

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