2022/04/22 インフラ維持管理・更新費、予防保全で32%減/各省見通し本社集計
【建設工業新聞 4月 22日 1面記事掲載】
政府の所管インフラに関し、維持管理・更新費の将来見通しが出そろった。事後保全の場合、1年間で必要になるメンテナンス費用は計29兆9011億円に上る。これを予防保全型のメンテナンスに転換すれば、31・9%減の20兆3579億円に抑えられる。政府は老朽インフラの増加が見込まれる中、コストの見通しを示すことで予防保全型のメンテナンスへの転換を加速したい考えだ。=2面に一覧表
効率性や経済性を重視しながら適切にインフラを手当てしていく。見通しに対する実績調査などフォローアップの在り方も検討している。
政府全体の見通しは、内閣府が公表した国土交通省など5省の推計データを基に日刊建設工業新聞社が集計。新型コロナウイルスの感染拡大で作業に影響が出ていた厚生労働省の「福祉施設」の推計が公表されたため、政府全体の見通しがすべてそろった格好だ。
将来見通しの対象期間は、国交省が2019~48年度の「30年間平均」、厚労省の福祉施設(児童福祉施設など)は21~90年度の「70年間平均」など、省ごとにばらつきがある。複数のシナリオで推計している省もあるが、そのうち一つのデータを内閣府が抽出して整理した。前提条件が異なるデータを単純に足し合わせても、政府全体で特定の時期にかかるコストを正確に表すことはできない。ただ人口減少や老朽インフラの増加が将来的に避けられない中で「(メンテナンス費用の)規模感を読み解くきっかけにはなる」(内閣府政策統括官〈経済社会システム担当〉担当者)。
省ごとの推計では、所管インフラの多い国交省のコストが最も高かった。30年間(19~48年度)の平均値で1年間のコストを試算すると、事後保全の場合約9・5兆円。予防保全の手法に転換すれば32%減の6・5兆円まで圧縮できるとした。30年後(48年度)の時点では年間で事後保全が12・3兆円、予防保全は6・5兆円。削減効果は47%を見込む。国交省は対象となる構造物の立地条件や施工条件によって施工単価が変動することを踏まえ、一定程度幅のある推計を公表していた。その中から内閣府が上限値を抜粋し提示した。
農林水産省の漁港施設などは予防保全への転換で5割近くのコスト削減が可能な施設があった。各省は引き続き、点検を支援する新技術の開発や活用の促進、既存ストックの集約・再編・廃止などを組み合わせ、予防保全型のインフラメンテナンスを推進する方針だ。
効率性や経済性を重視しながら適切にインフラを手当てしていく。見通しに対する実績調査などフォローアップの在り方も検討している。
政府全体の見通しは、内閣府が公表した国土交通省など5省の推計データを基に日刊建設工業新聞社が集計。新型コロナウイルスの感染拡大で作業に影響が出ていた厚生労働省の「福祉施設」の推計が公表されたため、政府全体の見通しがすべてそろった格好だ。
将来見通しの対象期間は、国交省が2019~48年度の「30年間平均」、厚労省の福祉施設(児童福祉施設など)は21~90年度の「70年間平均」など、省ごとにばらつきがある。複数のシナリオで推計している省もあるが、そのうち一つのデータを内閣府が抽出して整理した。前提条件が異なるデータを単純に足し合わせても、政府全体で特定の時期にかかるコストを正確に表すことはできない。ただ人口減少や老朽インフラの増加が将来的に避けられない中で「(メンテナンス費用の)規模感を読み解くきっかけにはなる」(内閣府政策統括官〈経済社会システム担当〉担当者)。
省ごとの推計では、所管インフラの多い国交省のコストが最も高かった。30年間(19~48年度)の平均値で1年間のコストを試算すると、事後保全の場合約9・5兆円。予防保全の手法に転換すれば32%減の6・5兆円まで圧縮できるとした。30年後(48年度)の時点では年間で事後保全が12・3兆円、予防保全は6・5兆円。削減効果は47%を見込む。国交省は対象となる構造物の立地条件や施工条件によって施工単価が変動することを踏まえ、一定程度幅のある推計を公表していた。その中から内閣府が上限値を抜粋し提示した。
農林水産省の漁港施設などは予防保全への転換で5割近くのコスト削減が可能な施設があった。各省は引き続き、点検を支援する新技術の開発や活用の促進、既存ストックの集約・再編・廃止などを組み合わせ、予防保全型のインフラメンテナンスを推進する方針だ。
日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら