2022/04/25 大林組/大規模土工無人化へ実証開始、建機の遠隔操作や自動・自律運転

【建設工業新聞  4月 25日 3面記事掲載】

大林組は大規模土工事の無人化に向けた現場実証を、福島県飯舘村での盛り土工事で始めた。これまで培った建設機械の遠隔操作や自動・自律運転の技術を集約。現場で試験運用し、安全性と生産性の向上を確認するとともに、大規模土工事で無人施工が可能かどうかを検証する。建設工事現場で使用する建機全体の自律運転化と、統合管理するプラットフォームシステムの構築・運用も視野に入れる。

現場実証は福島県飯舘村で進む「令和2・3・4・5年度飯舘村長泥地区環境再生事業盛土等工事」(発注=環境省福島地方環境事務所)で行う。盛り土工31万3000立方メートルのうち自律・自動化施工数量は2万立方メートルを予定している。試験施工は6月まで行う。建機は遠隔操作バックホウ、自律運転キャリアダンプ、自動運転ブルドーザーを使う。建機の運用管理や工事データの活用でも議論を進める。

土砂の積み込みは、トンネル工事現場で運用してきた「バックホウ遠隔運転システム」の適用範囲を拡張する。場内運搬はキャリアダンプの自律運転を適用し、土砂の敷きならしと転圧はブルドーザーの自動運転を生かす。

1人で複数の建機を運用管理するためのプラットフォームも開発した。システム管理者がプラットフォームに作業内容を入力することで、複数の建設機械が連動して運転できるようになる。施工状況は監視モニター以外にパソコン画面上でも確認できる。当日の作業条件に合わせて作業場所や立入禁止区域を設定すれば、建機同士の事故や作業員との接触を防ぐ。

工事データとして各施工段階の運行履歴データや出来形データを自動取得する。データは継続的に取得し、施工の進捗(しんちょく)や建機の稼働状態を管理し、施工計画を最適化する。GNSS(全球測位衛星システム)で建機の位置情報を把握。3Dレーザースキャナーで取得した周辺地形データと、建機を制御するマシンコントロール機能を活用して高精度な施工を行う。

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