2022/06/23 参院選公示/各党がマニフェスト、防災・減災対策に積極姿勢

【建設工業新聞  6月 23日 2面記事掲載】

◇与党は5か年加速化対策後も視野  第26回参院選が22日に公示された。主要政党が同日までに公表したマニフェストや政策提言では、防災・減災、国土強靱化に向けたインフラ投資への積極姿勢がうかがえる。与党は「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」について、5か年加速化対策後の取り組みの継続に踏み込みながら、対策の重要性を訴える。公共事業に厳しい目を向けがちな野党も、災害に強い街づくりなど防災・減災対策には前向きな姿勢だ。各党の政治的な思想は異なるが、国民の安全・安心を守るという思いは共通している。

自民、公明両党はあらゆる関係者が協働する「流域治水」の取り組みやインフラの老朽化対策など、5か年加速化対策に基づく取り組みを着実に実施する考えを改めて表明した。対策後について、自民党は「中長期的かつ明確な計画のもと、必要・十分な予算を確保」する姿勢を打ち出した。公明党は「継続的・安定的に対応するため、法的な枠組みも視野に検討」すると明記。マニフェストで5か年加速化対策後の方向性が示されるのは、今回が初めてになる。

野党の主張に目を転じると、国民民主党は「社会資本再生法」の制定を提案した。インフラの円滑な維持管理や更新を推し進め、安全性と防災性を向上させたい考えだ。立憲民主党はグリーンインフラの整備を着実に進め、災害への備えを高める方針。れいわ新選組は「コンクリートも人も」をうたい、災害に強いインフラの充実を政策の柱の一つに掲げた。経済政策の側面でもインフラ投資を重視する。

今年で創立100周年となる共産党は大規模な公共投資には懸念を示しつつも、災害の激甚化・頻発化を受け「従来の延長線上ではない、防災・減災対策の抜本的な強化が求められている」と強調。防災・減災対策やインフラの老朽化対策に予算を重点的・優先的に配分する方針を示した。

災害時に「地域の守り手」として活躍する地域建設業への支援に力を注ぐ党も多い。自民党は「公共事業の必要な事業量・事業費を確保する」と強調。賃上げや処遇改善に取り組み、建設産業の担い手の確保・育成を目指す。公明党は建設業の適正な請負代金や工期の設定を実現するため、公共・民間発注者に働き掛ける。生産性向上や働き方改革も推し進める。日本維新の会は、国の出先機関が発注する工事で、地域の中小零細建設企業の受注割合を一定程度確保する制度を定めるとした。

社民党は選挙公約の主要事項にインフラ整備を位置付けていない。

参院選は7月10日に投開票する。

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