2022/06/27 財務省/総合評価賃上げ加点の未達時減点措置に免除規定、自然災害や経済情勢考慮

【建設工業新聞  6月 27日 1面記事掲載】

賃上げを行う企業を総合評価方式で加点評価する国の施策を巡って、財務省は入札参加企業の賃上げ表明を促す観点で特例的な措置を講じる。加点後の実績確認で賃上げが未達成だった場合に課される減点措置が、自然災害や経済危機など不測の事態が生じれば免除される規定を設ける。取引先の倒産や資材の供給不足などを要因に業績や資金繰りが悪化した場合も、客観的な証明書類の提出などの条件付きで減点免除が可能になる。

財務省が新たな規定の取り扱い方を示した事務連絡を20日付で関係省庁に送付した。賃上げ表明後にどんな事情があっても例外なく減点措置が適用されるのかどうか、建設会社などから多く問い合わせがあることが背景にあるようだ。

減点措置の免除が認められる典型的なケースとして、特定非常災害特別措置法に基づく「特定非常災害」の適用対象地域に主要な事業所がある場合を例示。その適用期間内は減点措置を課さない。

2008年の「リーマンショック」と同程度の厳しい経済情勢となった場合は、全国一律で減点措置を免除する。そうしたケースに該当するかどうかは、さまざまな経済指標の動向などを踏まえ財務省が判断し別途通知する。

さらに「自らの責によらない」範囲の個別事情で経営状況が悪化した場合も免除対象になり得る。想定されるケースとしては▽自然災害や人為的災害(火災など)で被災し事業遂行が一定期間不可能になった▽主要な取引先の倒産で業績が悪化した▽資材供給不足などで契約履行期限の延長などが行われ契約上の代価の一部を受領できず資金繰りが悪化した-を列挙。「罹災(りさい)証明」や「契約書類の写し」などの証明書類と、従業員が署名した理由書の提出が条件となる。

財務省は事業年度開始月より後の賃上げを評価できる規定も新たに設け、同日付で事務連絡を送付。これまでは事業年度単位か暦年単位で賃上げ表明する必要があったが、企業によっては例年の賃上げ実施月(定期昇給月など)が別に設定されていることを考慮し、そうした企業に限定し賃上げ実施月から1年間の実績を評価できることにする。

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