2022/06/30 国交省/建設発生土の適正処理へ元請の義務・責任強化、計画書の作成対象拡大

【建設工業新聞  6月 30日 1面記事掲載】

国土交通省は公共工事と民間工事を問わず建設発生土の適正処理を促すため、元請業者に作成・保存を義務付けている「再生資源利用促進計画書」の運用を見直す。計画書の作成対象となる土砂搬出量を「1000立方メートル以上」から「500立方メートル以上」に拡大。計画内容を発注者に提出・説明する義務を新たに課し、発注者の理解増進につなげる。2023年1月に適用する予定で、同時に立ち入り検査や勧告・命令の対象事業者を拡大しチェック機能も強化する。

資源有効利用促進法に基づく指定副産物省令など関係省令の改正案を29日に公表し意見募集を始めた。9月までに公布し、周知・準備期間を経て23年1月の施行を予定している。

静岡県熱海市の土石流災害を受けて内閣府の有識者会議が昨年12月に公表した提言を踏まえた対応。計画書の運用強化を通じ建設発生土の搬出先を明確化し、さらなる有効利用と違法行為の発生抑制につなげる。

改正後は現場の仮囲いなど外部の見えやすい場所に計画書を掲示する必要がある。計画書の記載内容もより詳細に規定。計画内容を変更した場合や、発注者が請求した場合は実施状況などを発注者に報告する義務が生じる。事後検証にも役立てられるよう計画書の保存期間を従来の1年から5年に延ばす。

建設発生土の現場管理体制は元請業者が整備主体を担うと明確化。運搬費など処理費用の見積もりを建設業者側に働き掛ける規定も追加し、発注者を含めた適切な費用負担を促す。

今回の省令改正とは別に、現状で一定規模以上の工事業者に限られている立ち入り検査や勧告・命令の対象を広げる方向で検討。来春に予定する「盛土規制法」の施行に合わせる形で、同法に基づく盛り土許可の搬出先への事前確認と、搬出後の「土砂受領書」の確認を義務付ける制度改正の具体化も目指している。

建設発生土はストックヤードなどの仮置き場に搬出されるケースも多い。国交省は土砂受領書を搬出先から受け取る方向で制度設計を進めてきたが、ストックヤードなどの実態調査を踏まえ適切な土砂搬出を確認可能な方法を改めて検討している。

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