2022/07/08 22年度建設投資は実質減に、物価高騰で名目増から反転/建設経済研ら見通し

【建設工業新聞  7月 7日 1面記事掲載】

建設資材や燃料の急激な価格高騰を要因に、足元の建設投資額が実態を超えて上振れしている。建設経済研究所と経済調査会が6日発表した建設投資予測の最新推計によると、2022年度の投資総額は前年度比で名目値が3・1%増、物価変動の影響を取り除いた実質値が1・8%減。前年度比増減が反転するほどの隔たりがあった。実質値の減少により実際に手掛ける工事量は減っていると考えられ、現場の肌感覚と合わない状況が生まれている可能性がある。

22年度建設投資予測の前年度比増減を分野別に見ると、▽政府投資=名目値1・5%増、実質値2・4%減▽民間住宅投資=2・2%増、3・9%減▽民間非住宅建築投資=9・4%増、3・6%増▽民間建築補修投資=1・8%増、3・1%減▽民間土木投資=1・2%増、2・7%減。いずれも名目値と実質値に大きなギャップが生まれた。

実質値の算定に用いる「建設工事費デフレーター」(建設工事にかかる費用の相場を示す指標)は、これまで緩やかに上昇してきた。国土交通省の公表数値によると15年度を「100」とした場合、暫定値で20年度は107・9、21年度は112・9と推移。ただ建設経済研究所による22年度予測は118・8に跳ね上がる。ここまで急激な上昇幅は前例がない。

コロナ禍の低迷から回復してきた民間投資への影響は大きそうだ。住宅着工戸数は22年度に前年度比0・8%減の85・90万戸と予測。いったん回復した住宅需要が資材高騰の影響で伸び悩むと判断した。分譲住宅のうち「マンション・長屋建」は1・5%減の10・27万戸と見通す。

民間非住宅建築は着工床面積の22年度予測が4・1%増の4555万平方メートルと好調。店舗や工場は10%超の増加を想定。21年度に大型物件が相次いだ事務所は20・5%減だが、首都圏などで大型再開発を控え当面堅調と予測する。ただ物価高騰が長引いた場合、民間企業の投資判断にどう影響を与えるか注視が必要だ。

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