2022/09/02 国交省/BIM・CIM小規模企業活用へ環境整備、23年度の原則適用見据え

【建設工業新聞  9月 2日 1面記事掲載】

国土交通省は2023年度に直轄工事で予定するBIM/CIM原則適用に向け、未経験の小規模事業者が抵抗なく活用できる環境整備に乗り出す。後工程に必要な情報伝達をBIM/CIMの本質的な機能と位置付け重点的に強化。データ引き継ぎを確実に行うための格納形式や仕組み・ルールなどを年内にも固める。3Dモデル以外のデータも対象に全工程で必要性の高いデータを整理する考え。建設業団体などの意見も取り入れ詳細を詰める。

23年度からのBIM/CIM原則適用は小規模工事を除くすべての詳細設計・工事が対象。詳細設計では3Dモデルの作成・納品、工事では3Dモデルを用いた施工計画の検討と設計図書の照査を求める。

国交省は8月30日に開いた産官学でつくる「BIM/CIM推進委員会」の会合で原則適用に向け具体化が必要な事項を提示した。各事項ごとに関係団体らとプロジェクトチーム(PT)を随時設置し集中的に検討していく。23年度当初から円滑なスタートが切れるよう年内をめどに結論を出す。

後工程に必要な情報伝達の検討に最も重点を置く。BIM/CIMの本来のメリットである業務効率化や生産性向上につなげる狙いがある。実務関係者からは3Dモデル以外でも工種ごとに引き継ぐべきデータがあるとの指摘もある。施工時の手戻りなど現場実態を踏まえ必要なデータを絞り込む。

国交省が整備する「検討状況管理台帳」の運用をPTで試行し、小規模事業者が扱いやすい方法も探る。検討状況管理台帳は設計履歴や電子成果品のデータを一元管理する仕組み。プロジェクトの各工程をまたいだデータの保存・共有に効果が見込める。

これ以外に具体化が必要な事項として工種の違いや複雑箇所の有無、工事規模に応じた3Dモデルの最適な作成レベル(詳細度)を整理する。ファイル形式が異なる3Dモデルを引き継ぐ際の対応策も検討。小規模事業者の教育・能力開発を促す観点から、県単位・地域単位で先行業者が未経験業者に指導的役割を果たすような仕組みを構築するアイデアも示している。

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