2022/09/20 北陸整備局/輪島道路I期現場でドローン資材運搬を試行、時間短縮に貢献

【建設工業新聞  9月 20日 8面記事掲載】

北陸地方整備局金沢河川国道事務所は、山岳地帯で実施中の能越道輪島道路(I期)施工現場で大型ドローンを使った資材運搬を試行した。目視飛行で工事用道路から約30メートル上昇して約100メートル離れた地点まで総重量800キロのラス金網を40回(1回当たり20キロ)、総重量約260キロのアンカーピン(1箱約21・6キロ)を12回に分けて運び、運搬時間短縮に大いに貢献したという。

空撮や測量、インフラ点検をドローンで行う例は多いが、資材運搬での使用は極めて珍しい。概要は13日開催の北陸整備局事業研究発表会で報告(論文名・能登半島の先端で取り組む最先端のインフラDX)された。

ラス金網とはモルタルの剥落を防ぐためモルタル下地として使用される金網のこと。

資材運搬にドローンを使ったのは、工事用道路側面の大規模な切り土をモルタル吹き付けによりのり面保護工を施工する現場。モルタル吹き付けは、圧送でモルタルは運搬できるが、ラス金網やアンカーピンなどの資材の揚重には人力やクレーンを利用するのが一般的。現場は工事用道路の制限から使用できるクレーンでは切り土の中段までしか揚げることができないため、ドローンを使用した資材運搬を試すことにした。

作業は、工事用道路上にオペレーターと安全監視員、運搬先にオペレーターと安全監視員を配置する4人体制で行った。運搬方法は、ドローンが停止している状態で工事用道路側の地上作業員が玉掛けを行い、オペレーターがドローンを離陸させる。その後、運搬先オペレーターに操作権を移し、荷下ろし場の地面に資材が設置したら自動フックを解除して資材を切り離すという方法を採用。これを50回以上繰り返して作業を終了した。

ドローンによる運搬と、今回と同様な現場で用いることが一般的なクレーン運搬と人力運搬の組み合わせの費用対効果の比較では、一般的な方法の方が費用対効果は高かった。

これについて金沢河川国道事務所は、大型ドローンの利用はまだコストが高いこと、重労働ではあるが人力による作業が可能だったことなどを挙げている。だが、人力ではできない河川を横断する運搬、山を越える運搬については昨今の人手不足や、熱中症リスクを考えると、この先確実に有効な手段になるとの考えを示している。

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