2022/09/20 清水建設/ダムコンクリの運搬効率最大化、つり下げコンベヤーに袋状ベルト

【建設工業新聞  9月 20日 3面記事掲載】

清水建設はダム堤体コンクリートの運搬効率が最大化できるベルトコンベヤーを開発した。密閉・つり下げ構造で、袋状に丸めた搬送ベルトにコンクリートを包み込んで運搬。高所のバッチャープラントで製造したコンクリートを低所の打設場所へ最短ルートで運ぶ。傾斜45度でも直線配置が可能。運搬物の形状を保ちつつ材料分離を防ぐ。16日、福島県いわき市の実験ヤードに設けた実証設備を報道陣に公開した。

「SCプレミアムベルコン」は古河産機システムズの協力を得て開発した。運搬設備は袋状ベルトコンベヤーとコンクリートを定量供給するベルトフィーダー、コンベヤー用のプーリーやローラー、モーターなどで構成する。

袋状ベルトコンベヤーはつり下げ構造の搬送システム。上部のローラーにベルトの両端を挟み込むことで袋状の搬送スペースを形成する。搬送ラインにコンクリートを供給するベルトフィーダーとの合流部は上部が開口する仕組みとなる。

運搬能力は1時間当たり200立方メートル。固定式ケーブルクレーンを使った運搬に比べ約2倍の容量を確保する。堤体積100万立方メートル級の大型ダム建設の場合、コンクリート打設工程を約4カ月、全体工期を10%程度短縮できるという。

古河ロックドリルいわき整備工場内に設けた実証設備では高低差約30メートル、傾斜45度でコンクリートを高速運搬できる。清水建設土木技術本部ダム統括部の山下哲一主査は「ダムサイトののり面に設置する通常の平ベルトコンベヤーのように乗り継ぎがない。袋に包んだまま運搬するため、材料分離を防ぎ品質を保てる」という。加瀬俊久上席エンジニアは「コンクリートダム建設の次世代運搬設備になる。自信を持って実現場に導入できる」と話す。

同社は運搬スピード向上などで運搬能力をさらに高める実証を継続。2024年春をめどに大型ダム現場で実運用を目指す。

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