2022/09/27 公共工事予定価格、資材高騰分「反映していない」市区町村7割超に/全建調査

【建設工業新聞  9月 27日 1面記事掲載】

全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は会員企業を対象に、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)運用指針を踏まえ発注手続きが適切に行われているか調べた。建設資材価格の高騰分が当初設定された予定価格に反映しているか確認したところ、「反映していない」と答えた割合は5~7割を占めた。資材高騰などを理由に利益が「悪い」または「悪くなってきた」企業は、前年度調査と比べ10ポイント以上上昇し約4割に達した。=2面に関連記事

調査は2015年度から毎年度行っている。本年度は7~8月に実施。会員1341社が回答した。

資材高騰分を当初の予定価格に反映しているか発注者別に初めて調査。「反映していない」と答えたのは国土交通省49・5%、都道府県63・8%、市区町村74・9%だった。一方で「おおむね反映している」が国交省42・2%、都道府県32・9%、市区町村22・8%。「反映している」は国交省8・3%、都道府県3・3%、市区町村2・4%にとどまった。

昨年6月以降、資材高騰に伴いスライド条項の適用を「申請中(申請済み含む)」の会員は21・1%、「申請予定(検討中含む)」が34・3%。これらのうち申請手続きに「不満」を感じているのは19・1%。「やや不満」も28・6%存在した。不満、やや不満の理由に受注者負担(全体スライド=残工事費の1・5%、単品スライド=対象工事費の1・0%)の存在や、複雑な手続きが挙がっている。

賃上げ表明企業を総合評価方式の公共調達全般で加点する国の施策の対応状況も調べた。賃上げ表明を「行った」会員は50・5%。「行う予定」が18・6%。賃上げをどう行ったか(行う予定含む)も確認した結果、78・6%が「給与総額」、21・4%が「一人当たりの平均受給額」だった。大部分が定期昇給かベースアップにより賃上げ率1・5%以上という中小企業向けの加点要件で対応している。

前年度に続き直近1年間の利益も調査。「悪い」が4・9%(前年度比1・5ポイント悪化)、「悪くなってきた」が34・9%(11・1ポイント悪化)となった。利益悪化の原因は複数回答で資材高騰などによる「工事原価の上昇」73・6%(10・2ポイント悪化)、「受注の減少」72・6%(1・7ポイント悪化)、「競争の激化」54・2%(4・4ポイント悪化)の順に続いている。

調査結果は、10月5日の関東甲信越を皮切りに全国9地区で開く国交省との22年度地域懇談会・ブロック会議で参考資料として活用。全建や都道府県建設業協会が改善を求めていく。

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