2022/09/29 自民党・佐藤信秋参院議員に聞く/与党PTで強靱化基本法見直し議論
【建設工業新聞 9月 29日 1面記事掲載】
◇アフター5か年、1年前倒し
自民党の佐藤信秋参院議員が日刊建設工業新聞の取材に応じ、国土強靱化政策の新たな方向性を話し合う与党プロジェクトチーム(PT)を10月下旬にも立ち上げる方針を示した。2025年度末で終了する「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に続く新たな長期計画を議論。来年で制定から10年を迎える国土強靱化基本法の見直しも1年程度かけて進める考えを明らかにした。
佐藤氏は、自民党国土強靱化推進本部(本部長・二階俊博衆院議員)に3月設置した「国土強靱化の着実な推進に関するプロジェクトチーム(PT)」の座長を務める。これまで自治体首長や経団連の幹部らに意見聴取してきた。「地震や豪雨などの災害が毎年のように各地で発生している。意見聴取で感じたのは生命や財産を守るための危機感と、国土強靱化の新たな長期計画を求めるニーズが想像していた以上に強かった」と話す。
国土強靱化基本法は議員立法として13年12月に制定。東日本大震災を教訓に自民、公明両党が与党PTを共同で設立し内容を詰めた経緯がある。制定から10年の節目を迎えようとしている中、佐藤氏は改めて与党PTで国土強靱化政策の抜本的な議論を行う必要があると判断。「基本法をどのように見直すべきか。近年の災害の教訓や知見も踏まえ話し合う。1年ぐらい時間をかける必要がある」との見方を示す。24年の通常国会に基本法改正案を提出する目標を掲げる。
与党PTでは期間が5~10年程度の新たな国土強靱化長期計画も議論するという。佐藤氏によると、5か年加速化対策は国費総額約7兆円のうち、21~22年度の前半2年で半分程度を消化する見通し。最終年度の25年度は支出が大幅に減るとみられる。そのため「新たな長期計画は実質1年前倒しする形で、必要な予算を積み上げてから25年度にスタートすべき」との展望も打ち出した。
建設産業が直面する課題にも言及。時間外労働の罰則付き上限規制の建設業への適用が1年半後に迫る中、「受発注者双方が時間外の削減に着目しがちだが、大事なのは週休2日を確保しながら公共工事設計労務単価や一般管理費等率の引き上げなどによる賃上げの好循環を続けることが国の責務」と強調。佐藤氏が約25年前に音頭を取り設置した、岸田文雄首相と業界幹部による定期的な勉強会「信雄会」の5日の会合でも話題に上がったという。
国土交通省が8月にスタートした「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の議論も注視している。今月8日の民間発注者向けヒアリングでは、大手デベロッパーが総価契約という民間工事の性質上、建設資材価格の高騰に対応した請負金額変更は難しいとの見解を示した。佐藤氏は「民間にスライド条項を要請するのはいいが、公共契約で改善すべき事項がたくさんある」と述べ、スライド条項適用時に受注者が負担する1%枠の撤廃などを挙げた。
自民党の佐藤信秋参院議員が日刊建設工業新聞の取材に応じ、国土強靱化政策の新たな方向性を話し合う与党プロジェクトチーム(PT)を10月下旬にも立ち上げる方針を示した。2025年度末で終了する「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に続く新たな長期計画を議論。来年で制定から10年を迎える国土強靱化基本法の見直しも1年程度かけて進める考えを明らかにした。
佐藤氏は、自民党国土強靱化推進本部(本部長・二階俊博衆院議員)に3月設置した「国土強靱化の着実な推進に関するプロジェクトチーム(PT)」の座長を務める。これまで自治体首長や経団連の幹部らに意見聴取してきた。「地震や豪雨などの災害が毎年のように各地で発生している。意見聴取で感じたのは生命や財産を守るための危機感と、国土強靱化の新たな長期計画を求めるニーズが想像していた以上に強かった」と話す。
国土強靱化基本法は議員立法として13年12月に制定。東日本大震災を教訓に自民、公明両党が与党PTを共同で設立し内容を詰めた経緯がある。制定から10年の節目を迎えようとしている中、佐藤氏は改めて与党PTで国土強靱化政策の抜本的な議論を行う必要があると判断。「基本法をどのように見直すべきか。近年の災害の教訓や知見も踏まえ話し合う。1年ぐらい時間をかける必要がある」との見方を示す。24年の通常国会に基本法改正案を提出する目標を掲げる。
与党PTでは期間が5~10年程度の新たな国土強靱化長期計画も議論するという。佐藤氏によると、5か年加速化対策は国費総額約7兆円のうち、21~22年度の前半2年で半分程度を消化する見通し。最終年度の25年度は支出が大幅に減るとみられる。そのため「新たな長期計画は実質1年前倒しする形で、必要な予算を積み上げてから25年度にスタートすべき」との展望も打ち出した。
建設産業が直面する課題にも言及。時間外労働の罰則付き上限規制の建設業への適用が1年半後に迫る中、「受発注者双方が時間外の削減に着目しがちだが、大事なのは週休2日を確保しながら公共工事設計労務単価や一般管理費等率の引き上げなどによる賃上げの好循環を続けることが国の責務」と強調。佐藤氏が約25年前に音頭を取り設置した、岸田文雄首相と業界幹部による定期的な勉強会「信雄会」の5日の会合でも話題に上がったという。
国土交通省が8月にスタートした「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の議論も注視している。今月8日の民間発注者向けヒアリングでは、大手デベロッパーが総価契約という民間工事の性質上、建設資材価格の高騰に対応した請負金額変更は難しいとの見解を示した。佐藤氏は「民間にスライド条項を要請するのはいいが、公共契約で改善すべき事項がたくさんある」と述べ、スライド条項適用時に受注者が負担する1%枠の撤廃などを挙げた。
日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら