2022/09/30 内閣官房/国土強靱化基本計画見直しへ、考慮項目を再整理

【建設工業新聞  9月 30日 1面記事掲載】

内閣官房は国土強靱化政策の根幹となる「基本計画」(2018年12月改定)の見直しに当たり、考慮が必要な項目を再整理した。被災自治体を企業が援助するなど官民連携の強化を観点の一つに挙げた。水害と震災に同時に備えるといった「複眼的防災対応」も課題とする。基本計画の施策立案の前段となる脆弱(ぜいじゃく)性の予備評価も実施しており、23年1月をめどに結果を取りまとめる予定だ。同年度の基本計画改定を目指している。

29日に東京都内で「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(座長・藤井聡京都大学大学院工学研究科教授)を開いた。冒頭、谷公一国土強靱化担当相が「(防災・減災、国土強靱化のための)5か年加速化対策後を見据えながら、社会経済情勢変化を踏まえて、基本計画の改定に向けた検討を進めている」と説明した。

懇談会では有識者意見の中間整理を踏まえ、議論をさらに深めた。藤井座長は「国土強靱化を推進する上で大切なのは予算の裏付けの下での合理的、科学的な対策実施と、行政の縦割りを乗り越えることだ」と指摘。国土強靱化基本計画は政府の国土強靱化に関する政策の大本となるため「アンブレラ計画」とされ、省庁連携が可能な仕組みになっている。「これまでの連携が不十分だとすれば、次の5年間(基本計画の期間)に向けてしっかり進められる体制を整えてほしい」と注文を付けた。

懇談会には、今月の台風14号で甚大な被害を受けた宮崎県の河野俊嗣知事がオンラインで出席。県内の被害状況とともに「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」で整備したインフラ施設による減災効果を説明した。日之影町中心部は05年の台風14号によって111戸が床上・床下浸水した。3か年緊急対策で水防災事業を実施し、台風14号では床下浸水3戸にまで被害を抑え込むことができた。

河野知事は強靱化対策が必要な箇所が県内にまだあるとし「強靱化はいまだ道半ばだ」と強調。「5か年対策後も継続的かつ安定的に必要な予算を確保していく必要がある」と訴えた。

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