2022/10/18 国交省/建設向けにPAS事例集作成、23技術・8工種で適性評価

【建設工業新聞  10月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は建設現場の人力作業を補助する「パワー・アシスト・スーツ(PAS)」の早期導入に向け、PASの種類や特徴に応じ適用性が高い工種を明示した事例集をまとめた。複数のPASを直轄工事現場で昨年度検証し、作業員への事後アンケートや疲労度のセンサー計測などで有効性を評価。これを踏まえ事例集では建設現場に特化したPASの要求性能も提示し、メーカーなどのさらなる新規開発や既存機器の改良を促していく。

国交省のホームページで「パワーアシストスーツ現場検証事例集」を18日公表する。公募に応じたメーカーや大学など16者、計23技術のPASを対象に基本性能や活用場面、早期適用候補工種を示した。

実際に現場検証したのは▽かご工▽鉄筋工▽張り芝工▽ブロック(縁石)敷設▽コンクリートブロック敷設▽のり面石材工▽コンクリート打設▽地質調査・ボーリング-の8工種。いずれも作業中に中腰体勢を維持したり重量物を持ち上げたりする場面が多い。排水ポンプ設営や土のう作成など災害対応時の有効性を検証する模擬作業も別途行った。

PASの評価ではアンケートによる主観評価と心拍などのバイタル計測、休憩頻度や単位時間作業量の外的観測を組み合わせた。全工種ともにアンケートで一定評価があり、うち4工種では施工数量の増加や定量的な疲労軽減の効果も確認。経験年数が少ない作業員ほど高評価の傾向があり、新規入職者で効果が増すことも分かった。アクティブ型では装着慣れで作業が徐々にスムーズになる傾向が顕著。災害対応では短時間反復作業となる土のう作成で疲労軽減の効果があった。

事例集には将来的な開発促進を目的にPASの使用条件や要求性能を「共通項目」と「工種別」で整理した。PASは物流や介護の分野で導入が広がった経緯があり、現場検証では建設現場で求められる使い勝手や装着感などの課題も露見した。要求性能を明示することでメーカーらに建設現場に特化した機器開発の参考にしてもらう考えだ。

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