2022/10/26 国交省/法改正視野に空き家対策再検討、発生抑制や利活用促進へ対策

【建設工業新聞  10月 26日 1面記事掲載】

国土交通省は空き家対策特別措置法の改正を視野に、現行の空き家対策を再検討する外部有識者会議を25日立ち上げた。現在の法律は老朽化が進み周辺に悪影響を及ぼす可能性の高い「特定空家」への対策を重視し、市町村に除却などの権限を与えている。同省は空き家ストックがこうした状況に至る前の対策に着目。新たに発生抑制や利活用促進といった対策を総合的に展開できるようにする。2023年1月に法改正の方向性をまとめる。

社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)住宅宅地分科会に「空き家対策小委員会」(委員長・中川雅之日本大学経済学部教授)を新設。同日に東京都内で初会合を開いた。

冒頭、国交省の塩見英之住宅局長は「現在の法律は周辺に悪影響を及ぼすような空き家に対する措置を対応の中心に位置付けている。だが空き家は増え続けており、状態が悪くなってからの対応では手が回りにくくなってきている」と指摘。その上で「できるだけ早いうちに手を打つことも重要な施策の柱にしていかなければいけない」との考えを示した。

小委員会は空き家の▽発生抑制▽活用促進▽管理適正化▽除却の促進-の四つの目標を掲げ、対策内容を詰める。

現時点で国交省は空き家の発生抑制と活用促進に向け、空き家の所有者と活用希望者を仲介するようなスキームを構築する方向。平時からの管理体制も強化しNPOなど民間主体の活用策を探る。除却促進策として自治体が空き家所有者を探索する事務の効率化も図る。

現行法では倒壊の恐れがあるなど、周辺に著しい悪影響を与える空き家を特定空家と規定。市町村には持ち主に修繕を促したり、行政代執行で除却したりする権限を与えている。国交省は16年に「空き家対策総合支援事業」も設け、空き家の除却などに取り組む自治体を財政面でも支援している。

国交省によると、空き家は人口減少の影響で今後さらに増加する見通し。長期にわたって住人が不在の空き家は18年時点で約349万戸ある。30年には約470万戸に増えると推計している。主に対応に当たっている市町村の人手不足は深刻で、現在のスキームでは十分な対応が困難になる見通しだ。

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