2022/11/15 国交省/監理技術者配置で在籍出向の緩和検討、経団連の要望受け実態調査へ

【建設工業新聞  11月 15日 2面記事掲載】

国土交通省は経団連(十倉雅和会長)の要望を受け、建設現場の監理技術者などとして企業グループ内の「在籍出向技術者」の配置を認める範囲を緩和できるかどうか事例収集・実態調査に乗り出す。現状では技術者個人の技術力に加え、企業の技術力(ノウハウや施工方法)を発揮できるよう、在籍出向技術者の配置を親会社と連結子会社の間に限定している。技術者を抱える企業の実情や実際のニーズを踏まえ今後の対応を検討していく方針だ。

政府の規制改革推進会議の作業部会で議題となり、今月初旬に経団連と国交省のヒアリングが行われた。経団連は企業間の協業や組織再編などで資本関係が複雑化していることを背景に、在籍出向技術者の配置可能範囲を▽親会社と持分法適用会社間▽同一持ち株会社の連結会社間-に拡大するよう要望した。

国交省の「監理技術者制度運用マニュアル」によると、監理技術者などは所属企業の直接的・恒常的な雇用関係が必要とされる。ただ現行制度では親会社が株式50%以上を保有する連結子会社など一定条件を満たす場合、在籍出向技術者の配置を認める特例を運用している。連結子会社は親会社と一体的な経営が行われ、技術者の育成方針が共通しノウハウも共有されていると考えられるからだ。

非連結子会社や関連会社は特例の対象外で、有資格者を子会社で雇用する必要がある。グループ内の子会社間でも有資格者の融通はできない。経団連は特例の拡大で有資格者の活躍の場を増やすとともに、建設会社にとって人材確保が柔軟に行える効果も期待されると主張している。

運用見直しの妥当性が認められれば、政府がまとめる来年の「規制改革実施計画」などに盛り込まれる見通し。親会社と共通した企業としての技術力がグループ内でも十分に発揮できるかどうかがポイントになりそうだ。現状では判断材料が少ないため、国交省は経団連などの意見を聞きながら実態把握し検討に当たる方針だ。

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