2022/11/24 複数資材の価格上昇、インフレスライドが有効/業界団体通じ周知徹底を

【建設工業新聞  11月 24日 1面記事掲載】

資材価格高騰に対応するスライド条項の運用を巡って、現状のように複数の資材価格が一斉に上昇する局面ではインフレスライドの適用が有効と指摘する声が上がっている。国土交通省直轄工事の単品スライドは個別の資材の価格変動額が工事費の1%を超えなければ受注者負担となり適用できない。資材価格や賃金のトータルの上昇額が大きい場合はインフレスライドが効果的と言える。適切にスライド条項を使いこなすため、受注者側の理解を深める必要がありそうだ。

21日に開かれた自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟の幹部会で、国交省が単品スライドの適用は難しいもののインフレスライドで対応可能なケースを示して説明した。

適用時の受注者負担は単品スライドが対象工事費の1%、インフレスライドが残工事費の1%。ただし単品スライドは▽燃料油▽鋼材類▽アスファルト類▽コンクリート類-など資材品目ごとの価格変動額で1%を超えた分がスライド額となる。すべての資材価格や賃金の変動額で1%を超えた分をスライド額とするインフレスライドとは算定対象が異なる。

そもそも単品スライドは、1970年代の第2次オイルショック時に賃金や物価が全体としてさほど上昇しなかったが、一部の石油関連資材が高騰したことに対応するため規定された経緯がある。今後、資材価格全般が下落しつつも特定の資材価格だけ上昇し続ける状況になれば単品スライドが有効との見方もある。

会合に出席した国会議員らは、こうした制度の趣旨を受注者らに正確に伝えるよう、国交省や日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)に対応を要請。佐藤信秋参院議員は「今のように(資材)みんなが上がっている時は、単品スライドに意味はないと言うべき」と主張。足立敏之参院議員は「少し業界にも誤解がある」と指摘し、両団体を通じた会員企業への周知徹底を求めた。

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