2022/12/12 国交省/災害復旧工事の不可抗力損害、受注者負担ゼロの適用範囲を明確化

【建設工業新聞  12月 12日 1面記事掲載】

国土交通省は5月に改正した公共工事標準請負契約約款を踏まえ、直轄工事で不可抗力による損害が発生した場合、受注者負担をゼロにする具体的なケースを明確化した。「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」の適用を受けた災害復旧事業の対象工事や、災害協定に基づく契約や発注者の指示を受けて対応する災害応急対策などで2次災害が発生した際の損害を全額発注者負担とする。改正内容の施行日となる2023年4月1日を見据え、地方自治体にも同様の考え方で対応するよう働き掛ける。

直轄工事で全額発注者負担となる工事内容の範囲を定め、各地方整備局などに8日付で通知した。その内容を添付した文書を関係省庁や都道府県・政令市、独立行政法人などに同日付で送付。請負契約の締結に当たって改正後の公共約款の規定を適切に設定し、直轄工事の運用を参考に対応するよう求めた。

法定の災害復旧事業が適用されない官庁施設の災害復旧工事などを想定し、発注者が災害復旧工事として発注する工事や、現場説明書で損害負担について発注者が明示した工事も対象範囲に含めた。災害応急対策では維持管理契約内で発注者の指示で対応する工事も対象とする。「発注者の指示」に基づく場合は、その有無を事後的に確認できる書面を保管し適切な運用を担保する。

以前の公共約款では不可抗力による損害額のうち請負代金額の1%分を受注者が負担すると規定していた。ただ災害復旧工事は2次災害にさらされるリスクがあり、平常時より人員や資機材の確保も難しいため受注者負担が大きい傾向がある。1%の負担であっても受注ハードルが上がり、円滑な災害復旧に支障を来す可能性もある。地域建設業団体などから負担軽減を求める声があった。

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