2022/12/28 建設各社98%が調達コスト増加、過半は価格転嫁できず/東京商工リサーチ調べ

【建設工業新聞  12月 28日 1面記事掲載】

世界的な原油・原材料価格の高騰が、建設関係各社に重くのしかかっている。東京商工リサーチの調査によると、今後の見込みを含め建設業の98%で調達コストが増加と回答したが、価格転嫁できている割合は48%にとどまった。ゼネコン各社は民間工事で価格転嫁に難航している状況があり、「一部で価格転嫁を認めてもらえるケースもあるが、全額ではなく負担せざるを得ないことが多い」(ゼネコントップ)との声も上がる。選別受注を目指す向きも強まりそうだ。

調査は1~8日にインターネットで実施。有効回答は4889社で、このうち建設業では618社から回答を得た。

世界的な原油・原材料価格の高騰による調達コスト増加については、建設業の89%が「影響を受けている」、9%が「今後影響が見込まれる」と答えた。

コスト増への対応では、52%が価格を転嫁できていなかった。価格転嫁できているケースでも、転嫁率でみると10割は4%にとどまり、7~9割が14%、4~6割が15%となっている。1~3割という回答も15%あり、十分な転嫁が実現しているとは言いがたい状況だ。

対応策では「調達先の分散」「代替的な原材料、部品への切り替え」「在庫の積み増し」の順に多かった。

あるゼネコントップは「大半の民間工事で値上がり分の価格転嫁が難航している。信頼関係があっても『はい分かりました』という発注者はほとんどいない」と話す。調達コストの高騰や高止まりの収束が見込めない中、ゼネコン各社からは「設計・施工案件で、値上がり分の価格交渉に時間を要し着工が遅れている案件もある」「今後の価格高騰分を加味した見積もりを提出して、納得してもらえない場合は無理に受注しない」との声も上がる。

設備工事会社からも「リスク低減のため、契約の際に物価高騰時におけるスライド条項を織り込む」という姿勢が示されている。ただ「民間は事業予算があるため(値上げは)厳しく、いたずらに工事費を上げられない」(ゼネコントップ)のも事実。事業予算に見合う形へ計画の再検討や、VE提案といった工夫もより求められそうだ。

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