2023/02/10 国交省/建設業持続可能検討会会合、契約での「協議」プロセス確保に焦点

【建設工業新聞  2月 9日 2面記事掲載】

国土交通省の有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」は建設資材などの価格変動リスクに対応した契約の在り方として、受発注者間や元下間で「協議」のプロセスを確保することに焦点を当てて検討成果を取りまとめる方向だ。民間工事で主流の総価契約の性質が協議そのものを阻んでいるという問題意識から、契約の透明性を高めていく方策を講じる必要性で委員らの認識がほぼ一致している。

6日に開かれた第7回会合の意見交換では、公正取引委員会が昨年12月に公表した「独占禁止法上の『優越的地位の乱用』に関する緊急調査」を念頭に、取引上の立場の強い発注者や元請から協議を促していく必要があるとの声が上がった。同調査によると、立場の弱い側はそもそも協議を言い出しにくい傾向がある。ある委員は育児休業の関係法令を参考例に挙げ、立場の強い雇用主が労働者の育休取得の意思確認を行う義務があることを紹介した。

総価契約の請負代金の内訳として予備的経費(リスクプレミアム)を受注者が明示することにも、受発注者の協議を促す観点で賛同意見があった。公共発注者のうち特に地方自治体で価格転嫁を受け入れる意識を持たなければ、民間工事にも波及しないとの指摘もあった。

建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した施工体制や施工能力の「見える化」には多くの委員が期待感を示している。ただし技能者の処遇改善を目的としてCCUSの普及に業界挙げて取り組む中、現場管理に活用する際の理念を精査し関係者の理解を得ていくことが重要との指摘があった。

CCUSを現場管理の標準的なツールと位置付け、関連データの標準化に取り組むことに期待の声も寄せられた。総価契約で不透明となっている法定福利費の内訳をCCUSで見える化し、必要経費を明確にできれば発注者にも納得感が生まれるなど、さまざまな側面で活用の可能性が指摘された。

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