2023/03/31 建設業の課題解決へ、時計の針が一気に進む/国交省持続可能検討会で委員ら総括

【建設工業新聞  3月 31日 1面記事掲載】

国土交通省の有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」が29日に取りまとめた提言は、業界が抱える長年の懸案を打開する契機となるか--。同日の最終会合では各委員から提言内容を一つでも多く実現し、現場へ浸透させていくよう求める声が上がった。座長を務めた競争法が専門の楠茂樹上智大学法学部教授は「今回の議論や提言が、政府による『成長と分配の好循環』『新しい資本主義』といった大きな政策の重要なパーツになると確信している」と期待した。

非公開で行われた同日の最終会合=写真=で各委員が発言した内容を国交省が明らかにした。

堀田昌英東京大学大学院工学系研究科教授は、重層下請構造の弊害是正など数十年にわたり議論が停滞していた難問に突破口が開けたことから「時計の針が一気に進んだ印象を受ける」と実感を口にした。制度化を検討する「これからが重要」との見通しを示し、適切な労務費水準をどう定めるかなどをポイントに挙げた。

「発注者を含むパートナーシップを明確にうたったのは大きな意義がある」と指摘したのは、西野佐弥香京都大学大学院工学研究科准教授。請負契約の透明性確保などの方向性に「総価一式が所与のものとする考え方を変え得る」と期待を示した。

建設分野などの労働社会学を専門とする惠羅さとみ法政大学社会学部准教授は、適正賃金の支払いが可能となる労務費から積み上げてコストを提示する在り方を示したことなどの意義を強調。関係業界を交えた今後の議論に当たって「世代を超えた議論を進め、現場の声もヒアリングしながら検討をお願いしたい」と要望した。建設業関係の企業法務に携わる大森有理弁護士は「若い世代が入りたいと望み、技能を磨いて残ってくれる業界にしていきたい」と将来を見据えた。

他産業を代表し参加した榎並友理子日本IBM執行役員は、請負契約を中心に「時代の変化を踏まえ変わるべきところは変わっていくのがいい」とのスタンスを示した上で、提言内容の実現に期待。労働法に詳しい原昌登成蹊大学法学部教授は、請負契約の透明性を高めて情報を明らかにするというキーワードが重要と指摘し、「これから当事者同士の協議を促す方向へ進んでほしい。現場の労働者が安心して働ける環境になることに期待する」と述べた。

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