2023/05/18 国交省/自治体のダンピング対策徹底へ、調査基準価格など算定式非公表団体を聴取

【建設工業新聞  5月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は地方自治体のダンピング対策の取り組み状況を正確に把握するため、低入札価格調査基準や最低制限価格の算定式を「非公表」か「独自基準」としている団体の実態を初めて調査・分析した。該当団体のうち人口10万人以上の市区73団体(政令市を除く)を調査対象としたところ、18団体で調査基準価格などの少なくとも一方の算定式が低い水準だったことが判明。調査の要請に回答がなかった9団体と合わせた計27団体を今月から個別にヒアリングし、制度改善を働き掛けていく考えだ。

公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく2022年度実態調査(22年10月1日時点)によると、低入札価格調査制度か最低制限価格制度を導入済みの市区町村は95%超に達する。調査基準価格は導入済み836団体の約5割の424団体、最低制限価格は導入済み1545団体の約4割の677団体が、最新の中央公共工事契約制度運営連絡協議会(中央公契連)モデル以上の水準の算定式を用いていると分かっている。

一方、算定式を非公表とする団体は調査基準価格で53団体、最低制限価格で171団体ある。独自基準を採用しているためダンピング対策の実施状況が不明確な団体も散見される。まずは人口10万人以上の73団体の詳細な調査・分析に乗り出した。

調査・分析では自治体が発注する平均的な工事規模で、対象団体に調査基準価格などを算出してもらった。自治体の標準的な工事費の構成比を試算し、中央公契連モデルに当てはめた場合の数値と各団体の回答を比較した。その結果、18団体の算定式が16年中央公契連モデル以前の水準にとどまることが分かった=グラフ参照。特に算定式を非公表としている団体はダンピング対策が遅れている可能性がある。

27団体を対象とした個別ヒアリングでは、調査基準価格などの引き上げ予定や算定式を非公表としている背景などを聴取する。予定価格の公表時期を、事後公表に切り替えるなどの対応策も周知する。

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