2023/05/23 中建審・社整審基本問題小委/請負契約焦点に、ダンピング防止など法制化

【建設工業新聞  5月 23日 1面記事掲載】

中央建設業審議会(中建審)と社会資本整備審議会(社整審)産業分科会建設部会に設置する合同の基本問題小委員会が22日に開かれ、国土交通省が法制度の整備・改正を通じ短期的に実現を目指す事項を提示した。建設工事の受発注者間・元下間の請負契約にフォーカスし、▽請負契約の透明化による適切なリスク分担▽賃金引き上げ▽働き方改革など-の三つのテーマで議論する=表参照。次回会合以降、数カ月後の中間まとめに向けテーマごとに具体的な方策を詰めていく。

基本問題小委は建設業関係の学識者や建設業界の主要団体幹部、不動産業界や住宅業界の関係者などで構成。議論のベースとなる提言をまとめた有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」のメンバーの多くも名を連ねる。それぞれの立場で実務の視点も踏まえ議論を積み上げ、実際に機能する法制度の具現化を目指す。委員長には小澤一雅東京大学大学院工学系研究科特任教授が就いた。

議論に入る前段として国交省は建設業の持続可能性を妨げる課題に▽資材価格の変動▽担い手確保▽業構造の在り方-の三つを挙げ、提言を踏まえた対応の方向性を説明した。

資材価格の変動は総価請負契約が主流の民間工事を念頭に置く。受発注者間の情報の非対称性を解消し請負契約の透明性を高め、受発注者のコミュニケーションを促す措置を実行。建設プロセス全体で適切にリスクを分担し、より良いパートナーシップの構築を制度的に推進する。

担い手確保のため下請を含めた各受注者で適切に労務費が確保され、賃金が行き渡るようにしていくべきと指摘。労務費の圧縮を原資とした低価格競争を制限する措置を講じ、さらに「工期ダンピング」のような請負契約を制限し適正な工期・働き方を実現する。ICTを利用した現場管理の推進方策も検討する。

業構造の在り方は中長期的な課題と位置付け、当面は主要な論点とせず、中間まとめ以降に検討する。重層下請構造の実態を踏まえ、現行の建設業許可制度の合理化を検討する必要性に言及。仕事量の繁閑に応じた労働力の需給調整や多能工の活用に向けた考え方やルールの整理、建設業許可を要しない小規模工事の実態把握や適切な管理のための枠組みの構築も検討すべき論点に挙げた。


☐国交省が提示した基本問題小委での議論事項
○以下の1~3について取るべき方策を中間取りまとめで示す

1.請負契約の透明化による適切なリスク分担
 ・価格変動に対応するための受発注者間でのコミュニケーションが促進される仕組み
 ・契約の適正化に向けた取り組みを担保するための方策 など

2.賃金引き上げ
 ・労務費を原資とする低価格競争を防止する仕組み
 ・適切な労務費が確保され、支払われるための方策 など

3.働き方改革など
 ・時間外労働や休日確保にしわ寄せが及ぶ不当に短い工期設定を防止する仕組み
 ・ICTの活用を念頭に、現場の施工体制の実態把握を容易化する方策
 ・技術者の専任要件の合理化 など

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