2023/07/03 CCUSの現在地-登録開始から5年・1/レベル別年収公表で新たな局面

【建設工業新聞  7月 3日 1面記事掲載】

◇処遇改善の青写真示す

技能者の資格や経験を統一仕様で登録・管理する建設キャリアアップシステム(CCUS)。2018年5月の登録開始から5年、登録済みの技能者は119万人、事業者は22万者を超え、技能者の処遇改善を後押しする制度インフラとしての理解は着実に進んでいる。技能者のレベルに応じた年収額の目安も公表され、CCUSの機能を生かすための取り組みは新たな局面を迎える。

国土交通省は先月、CCUSの四つのレベル別に試算した技能者の年収額を公表した。公共事業労務費調査を基礎データに技能者の経験年数や保有資格に基づきレベルを振り分け、バーチャルな形でレベルに応じた賃金上昇の青写真を示している。

長橋和久不動産・建設経済局長は「登録者数は増えているが、能力評価(レベル判定)の進捗(しんちょく)が道半ばのため、レベルに応じた処遇改善の姿が見えない」と現状認識を示す。総務省の労働力調査の技能者数をベースにすると、CCUSに登録済みは4割程度まで達している。ただし登録技能者の構成比をレベル別に見ると、現場労務の主力を担うレベル2以上の取得者は1割に満たず、能力評価が浸透していない。

「登録者数がまだ少ない時期ならともかく、100万人を超えてきたからこそ、実際に登録し使うことで何がどう変わったかが見えてこなくてはいけない」と長橋局長。カードタッチによる就業履歴の蓄積と能力評価の促進を通じたCCUSの機能発現が急がれる中、年収額の公表を決断したのは、技能者の処遇改善という「CCUSの本来の目的を最も分かりやすく示したかった」ためだ。

技能者が自らの処遇を相対的に捉え直し、将来の見通しを描く--。同省がレベル別年収を公表した最大の狙いは、将来の入職者を含めた若い世代にCCUSで目指す処遇面の具体像を見せることにある。技能者のスキルや経験に応じた「賃金支払いの具体的なイメージ」として共有してもらえるよう、業界全体に働き掛ける考えだが、技能者本人への周知に最も重点を置く。

レベルごとの年収額は一定の幅を持って示されている。長橋局長は同程度の現場経験や資格を持つ技能者との比較で、一人一人の技能者が処遇面で「自分の立ち位置に気付き、確かめられる」と効果を説明する。「これから業界に入ってくる人が不安を解消するために5年、10年先の姿を見せることが必要」と強調。加えて「一日一日積み重ねた経験を評価し、処遇として保証することが雇用や収入の安定につながる」とも見ている。

業界関係者にはレベル別年収を一つの目安とした賃上げや、適正価格での受発注を期待する。その上で「行政として請負契約の中でレベル別年収で示したものを実現できるよう措置しなければならない」と気を引き締める。国交省は民間主導で賃金水準の底上げを図りつつ、中央建設業審議会(中建審)の議論を踏まえ、適切な労務費が行き渡るための制度的な対応に当たる考えだ。

(次回から2面に掲載)

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