2023/07/13 国交省/デジタル配筋確認本格適用へ実施要領策定、現場作業削減に効果

【建設工業新聞  7月 13日 1面記事掲載】

国土交通省は画像・映像解析で鉄筋出来形計測をデジタル化する技術を直轄土木工事で本格適用する。これまでの試行結果を踏まえ「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」を策定し、10日付で地方整備局などに通知した。計測機器の精度検証が済んだシステムの使用を前提に、すべての現場打ちコンクリート構造物への適用が可能になる。受発注者双方の現場作業の削減につながり、配筋計測に要する時間も大幅に短縮する。

通常の出来形確認は発注者監督員の立ち会いで行われ、受注者側も準備補助職員を含む複数人が必要となる。新たな技術は画像・映像を撮影する受注者側の職員が最低1人いれば済む。画像・映像解析で取得した計測データは遠隔地の発注者にリアルタイムで送信され、発注者はパソコンなどの画面越しに出来形確認を行える。

内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の枠組みで開発した5種類の計測技術を活用し、2021、22年度の2カ年を現場試行に充てて精度検証を終えた。本格適用では鉄筋本数と鉄筋径、鉄筋間隔を画像計測の対象とする。使用機器に応じ精度を検証しながら、鉄筋かぶりや重ね継ぎ手長、定着長などの計測にも活用できる。

試行時はスケールによる実測など従来手法を併用し計測データを比較検証する必要があったが、今後は不要となる。導入費用は発注者指定型の場合、技術管理費に積み上げ計上する。実施要領には工種に応じた適用の目安として、計測精度が低下したり導入自体が困難だったりする具体事例を挙げた。

PRISMを活用した5種類の計測技術は▽清水建設▽IHIインフラ建設▽鹿島▽三井住友建設▽JFEエンジニアリング-の5社を代表とする事業体がそれぞれ開発した。これ以外の技術の活用も除外しないが、実地検証などで要求精度を満たすことを事前確認する必要があるため、当面はPRISMで開発した5技術の活用が前提となる。

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