2023/08/04 豪雨災害/強靱化対策が被害抑制・ダム事前放流も効果、内閣官房調査

【建設工業新聞  8月 4日 1面記事掲載】

今年の梅雨期も各地で相次ぐ豪雨災害に対し、国土強靱化対策で整備されたインフラが被害の防止や軽減に役立っている。内閣官房国土強靱化推進室の調査によると、2018~20年度の3か年緊急対策や現行の5か年加速化対策によって浸水や土砂災害など大規模な被害を抑制した。気候変動の影響で災害のさらなる頻発や激甚化が予想される中、将来にわたり切れ目のない国土強靱化対策の推進が求められる。

内閣官房国土強靱化推進室がまとめた「23年梅雨期の大雨等に対する国土強靱化の効果」によると、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策や5か年加速化対策により各地で集中実施してきた河川の河道掘削や堤防、砂防施設、農業用ため池、のり面などのインフラ整備が被害を防止または軽減した。

河道掘削の場合、3か年緊急対策や5か年加速化対策、再度災害防止対策によって全国で約8960万立方メートルを掘削した。その効果として過去に大規模な浸水被害をもたらした降雨と今年6~7月の大雨で発生した浸水戸数を比べたところ、6月に大雨が降った庄内川水系土岐川(愛知、岐阜両県)は11年9月の洪水比約99%減の2戸、大和川水系大和川(奈良県、大阪府)は17年10月比約83%減の43戸、7月に大雨が降った筑後川水系花月川(大分県)は12年7月比約99%減の11戸、山国川水系山国川(福岡、大分両県)は12年7月比約85%減の30戸と大幅に軽減した。

12年6月の洪水で116戸が浸水した紀の川水系和田川(和歌山県)と、17年7月に258戸が浸水した筑後川水系赤谷川(福岡県)は今年6~7月の大雨で浸水戸数をゼロに抑えた。

砂防施設の整備も土砂災害対策に貢献。6~7月に線状降水帯が発生した15県で504件の土砂災害が発生したものの、3か年緊急対策や5か年加速化対策などによって整備された960カ所で被害は確認されていない。

福岡県田川市を走る平成筑豊鉄道は、5か年加速化対策などで実施した「鉄道隣接斜面崩壊対策」が発現。6月下旬~7月上旬の降雨時に同対策が行われた範囲では被害が発生しなかった。農業用ため池では、6月上旬の降雨時に和歌山県橋本市にある倉谷池で対策前の洪水吐きの対応可能な雨量を上回ったものの、対策によって流下能力を大幅に強化したことでため池の決壊を防いだ。

インフラの運用でも効果を発現。6月上旬の大雨では各地にある計55ダムで事前放流し、約1・5億立方メートルの洪水調節容量を確保した。

今年の通常国会では改正国土強靱化基本法が成立し、5か年加速化対策の後継計画を含む「実施中期計画」の策定が法制化された。将来の見通しを持って、国土強靱化対策を進める道筋が付いた。

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