2023/08/31 防衛省/施設強靱化へ5年間で4兆円投入、建設業界に期待

【建設工業新聞  8月 31日 1面記事掲載】

7月に就任した防衛省の扇谷治官房施設監と井上主勇官房審議官が日刊建設工業新聞のインタビューで、今後の防衛施設整備の方針などを語った。昨年12月に決定した防衛力整備計画に沿って、2023年度から5年間で自衛隊の施設整備に約4兆円を投入。継戦能力を確保する上で基盤となる施設の強靱化に取り組む。=6~9面に「防衛施設整備特集2023」

扇谷施設監は、隊舎・庁舎などの約4割が旧耐震基準で建てられ、老朽化している現状に言及。約300の基地・駐屯地ごとに作成するマスタープランに基づき、既存施設の集約化や再配置を行う「最適化事業」を進めるとした。「重要度に応じ地下化や構造を強化するなど施設の抗たん性も向上させる」という。

大幅な予算増で過去に経験がないボリュームの施設整備を行う上で、建設業界の積極的な事業参画を期待。「業界の経験、ノウハウ、アイデアを生かしたい」とする。PPP・PFIなど官民連携で事業を実施する可能性も探る。

井上審議官は、佐賀市に新設する佐賀駐屯地(仮称)の整備で同省が初めて採用した施工予定者が設計を支援するECI方式など「事業に応じた発注方式によって効率的で質の高い施設整備に取り組む」と話す。

鹿児島県の馬毛島基地(仮称)建設では、島内に生コンプラントや作業員宿舎を設けるなど、離島の特殊条件に対応。関連工事を発注する国土交通省などを含めて「関係者がワンチームになってゴールに向かっていきたい」と意気込みを示した。

米軍関連を含めると当面は年間1兆数千億円規模で推移する同省事業。井上審議官は効果的な推進に向けて「業界団体と継続的に意見交換を行えるようにしたい」とした。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る