2023/09/05 総合評価賃上げ加点措置、22年度は落札者の75%が表明/国交省調査

【建設工業新聞  9月 5日 1面記事掲載】

国土交通省は直轄工事を対象に、賃上げ表明企業を総合評価方式の入札で加点する措置の2022年度実績をまとめた。22年4月の加点措置開始から23年3月末までの賃上げ表明者は競争入札参加者の67%に当たる3010社、落札者の75%を占める2029社に上る。22年の暦年単位または22年度の事業年度単位で賃上げを表明した企業のうち、7月までに実績が確認できた暦年表明の367社は全て賃上げ目標を達成したことも分かった。

22年度実績は国交省の直轄工事6679件(内閣府沖縄総合事務局含む、農業・港湾空港関係を除く)を集計した。延べ競争入札参加者数は4万0295社で、このうち実際に参加したのは4507社だった。

賃上げ表明率は直轄工事の受注機会が多い企業や公共需要の占める割合が大きい工種ほど高い傾向にある。内訳を受注企業の年平均落札件数別(19~21年度)に見ると、1件以上5件未満の受注企業57~92%が賃上げを表明。これに対し、同5件以上10件未満は89~100%と高い水準で推移しており、同10件以上は96%となっている。

工種別内訳は▽一般土木81%▽アスファルト舗装87%▽鋼橋上部98%▽橋梁補修81%-など公共需要主体の分野が全体平均の67%を軒並み上回る。建築(54%)や電気設備(48%)など民間需要主体の分野は総じて低い。ただ公共需要は大きいものの、維持修繕工事を受注した企業の表明率も69%にとどまる。公共工事での競争性が比較的低い工種にはインセンティブが働きにくいようだ。

賃上げ表明企業に対する総合評価方式の入札での加点評価は、事業年度もしくは暦年単位で従業員に対する目標値(大企業3%、中小企業など1・5%)以上の賃上げを表明した入札参加者に行っている。

暦年表明で実績を確認した一般土木176社(同19社、同157社)の賃上げ率も集計したところ、1社当たりの単純平均で大企業と中小企業などのいずれも5%だった。内訳は大企業が3~3・5%に6社、中小企業などが1・5~2%に30社弱と集中している。

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